著作権侵害で提訴された音楽生成AIのSuno、バージョン「v4.5+」をリリース 既存素材を活かす新機能を追加

AI音楽生成プラットフォーム「Suno」は7月18日、有料会員向けのアップデートを発表した。このバージョン「v4.5+」では、「スタジオクオリティーの音楽制作」のための3つの新機能が導入された。
「ボーカルを追加」は、インストゥルメンタル・トラックにボーカルを重ねて完全な曲にすることが可能。単語や歌詞全体を入れ替える機能も備える。反対に「インストゥルメンタルを追加」では、ボーカル録音に、ユーザーのテキストプロンプトに従ってAIが生成したバッキングトラックを加えて完全な曲に仕上げる。この2つの機能は、利用するたびに改善され続けるという。
「インスパイア」は、ユーザーが作成したプレイリストを分析して、雰囲気を模倣した曲を生成する。
マイキー・シュルマンCEOは「われわれは音楽の作り方を変えるような新しいワークフローを導入している。これはマイナー・アップグレードではなく、より多くの人が、より良いツールを使って、より直感的な方法で、より多くの音楽を作るという、未来を垣間見るものだ」と述べている。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「音楽生成AIでは圧倒的な評価を受けるSunoがまたプロ・ユースの機能を追加した。「ボーカルを追加」「インストゥルメンタルを追加」は記事の通りトラックにボーカルを、あるいは逆を追加可能。単語や歌詞も追加できる。「インスパイア」は説明が要る。ユーザーがこれまでSunoで作った楽曲をまとめたプレイリストを元に新たな楽曲を生成する。楽曲自体を外部からアップロードしてプレイリストにすることはできない。しかしSunoもライセンス交渉に前向きになっているので今後、ユーザー自身の楽曲と認証できる仕組みが導入されれれば、自分の楽曲を学ばせたAIに楽曲を生成させて、それを元ネタに新曲を実際に作るという創作活動も可能になるだろう。既に漫画では手塚治虫のブラックジャック全作を学習させて新作を発表するプロジェクトが手塚プロと少年チャンピオンの合同プロジェクトで実現されている。そのあたりについては私が新潮で連載した連載の第六回「AIがアーティストになる日」に書いたので興味がある方はご一読願いたい」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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