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Spotify、3大メジャー・Merlin・Believeと「責任ある」AI音楽製品の開発で提携

ビジネス 海外

Spotifyは10月16日、3大メジャーレーベルおよびインディペンデントのデジタル音楽ライセンスパートナーであるMerlin(マーリン)、音楽ディストリビューター最大手のBelieve(フランス)と協業し、アーティスト・ファーストの責任あるAI音楽製品を開発する計画を発表した。

この協業による製品は、以下4つの原則に基づいて開発される。

・ レコード会社、流通業者、音楽出版社との提携
事前の合意を通じたアーティストとファンのための新製品を開発。

・参加の選択
アーティストと権利保有者は、AIツールへの参加の可否と方法を自ら選択。

・公正な補償と新たな収益
権利者、アーティスト、ソングライターに全く新しい収益源を生み出す製品を開発。作品の利用に適切な報酬が支払われ、貢献に対して透明性を持ってクレジットされることを保証する。

・アーティストとファンのつながり
開発されるAIツールは人間の芸術性を置き換えるものではなく、アーティストに新たな創造性とファンとの繋がりをもたらすものとなる。

Spotifyは既に「最先端の」生成AI研究ラボと製品チームの構築を開始。今後、権利保有者や流通業者との提携を拡大する考えだ。同社は、AIによる技術革新に対して「音楽業界が結束し、創造性を守りつつ革新を可能にするために行動することは極めて重要」だと主張。海賊版が横行した時代と同様に、明確な原則とクリエイターへの深い敬意に基づき、音楽業界と手を携えてこの未来を築きたいと述べた。

(文:坂本 泉)

榎本編集長

「歴史的にも重要なニュース。SpotifyがAIでユニバーサルミュージック、ソニーミュージック、ワーナーミュージック、Merlin、Believeとの協業で合意。Merlinは欧州のインディーズレーベルの連合で「第四のメジャーレーベル」とも称される。BelieveはTuneCoreを傘下に持つDIYアーティスト売上の筆頭。昨年、Spotifyでの再生シェアは三大メジャーとMerlinで71%、Believeを入れるとおそらく8割に近いので、決定的な合意になる。合意の詳細は記事を参照いただくとして、AIでアーティストが稼げるモデルの提供、オプトイン、AIによるファンダムの促進が基本になる。ファンダム促進が話題としては新しい。Spotifyは、ファイル共有が技術先行で実現した聴き放題を合法に変えた実績がある。創業者ダニエル・エクが新技術を武器に「不可能」とも呼ばれた三大メジャーとの交渉をこぎつけ、世界を変えた。「海賊版が横行した時代と同様に、明確な原則とクリエイターへの深い敬意に基づき、音楽業界と手を携えてこの未来を築きたい」というのは、ストリーミング時代に続いてAI時代も同様に音楽産業と共に、再び世界を変えるという意思表示だ」

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。

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