英国、定価を超えるチケット転売禁止へ
英国政府は11月19日、エンターテインメントのチケットを定価を超えて転売することを禁止する法案の策定計画を発表した。「ダフ屋の運営モデルを破壊する」措置としている。この計画が最初に報じられた同月17日には、二次流通プラットフォーム「StubHub」の株価が14%下落した。
新規制では、コンサート、スポーツ、演劇、コメディーなどライブイベントのチケットを額面価格(必須のサービス手数料を含む)を超えて販売することが違法となり、チケット転売プラットフォーム(ソーシャルメディアウェブサイトを含む)には、この規則の順守状況の監視と執行の義務が生じる。再販プラットフォームが課すサービス手数料には上限を設定し、個人が初回販売時の購入権限枚数を超えるチケットを売ることを禁じる。
政府の分析によると、年間およそ1億1,200万ポンド(約231億3,000万円)の節約が可能となり、一次市場でのチケット販売枚数は約90万枚増加、手数料込みの再販チケット平均価格が約37ポンド下がると推定されている。
ダフ屋の禁止は、与党・労働党の2024年選挙公約の一部で、先にはコールドプレイ、デュア・リパ、レディオヘッド、サム・フェンダーらが首相に公約履行を求める公開書簡を発表していた。
(文:坂本 泉)
榎本編集長
「イギリス、オンライン・ダフ屋撲滅へ。11月19日、チケットを定価以上で転売する行為が禁止される法案が英国政府から正式に提案された。記事の通り、SNSやフリマアプリも監視と削除の義務を負う。日本で言えばメルカリでチケットが定価以上で販売されていたらメルカリも責任を負う仕組みだ。事の発端は昨年8月のオアシス再結成。国民的バンドの16年ぶりの復活公演にチケット購入者が殺到。瞬く間にサーバーがダウンし、数時間で売れきれたが、実はオンラインダフ屋がボットで大量購入していて、その後チケット二次流通プラットフォームStubHub(米上場企業)やSNSでチケットが最高額120万円超で並ぶという事態に。社会問題化した。秋から選挙戦に入った英国は労働党がチケット転売規制をマニフェストに掲げ、政治問題にまで進展。そして選挙に勝利した現政権が公約通り法案化したという流れだ。順調に行けば年明けにも国王の演説と共に施行されることになりそうだ」ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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