広告・取材掲載

編集長ピックアップ

Spotify、カルーセル広告を導入 「ストリーミングプラットフォーム」から「インタラクティブなマルチフォーマット・エコシステム」に進化

【榎本編集長】

Spotifyがスワイプ式の広告とスポンサードプレイリストを始めた。その影響は広告主だけでなく、アーティストとリスナーの関係にも及ぶ。Spotifyはすでに「ディスカバリーモード」——ライセンス料を下げる代わりにアルゴリズムへの露出を増やす仕組みで、現代版の「ペイオラ」ではないかとの議論も呼んでいる——を導入しており、「どの枠を買うか」がアーティストの収益に直結する構造は深化する一方だ。新譜向けのMarquee、旧譜も含めたShowcase、そして今回のDiscovery Feed内プロモーション強化と合わせると、アーティストが「自腹を切って露出を買う」ツールが出揃った形だ。TikTok Shopが「動画を見る→その場で買う」という流れを作ったように、SpotifyはShopifyとのグッズ販売連携やCountdown Pagesによるリリース前予約など、「聴く→関わる→購買する」というコンテキスト・コマースを設計しようとしている。音楽体験と商業行為の境界線が薄れていく中で、リスナーが「音楽を楽しむ場所」として信頼し続けられるかが、Spotifyにとっての本質的な問いかもしれない。

ティンバランド手がけるAIアーティストが世界進出へ 「TaTa Taktumi」、Ne-Yo設立のエンタメ企業PMGと契約

【榎本編集長】

実在の人物がデジタル・ペルソナの背後に立つ「ハイブリッド・アーティスト」——TaTa Taktumiはその最初期の商業事例のひとつだ。アニメ調のアバターをまとった人間がリアルタイムで配信するVTuberとは異なり、AIが生成したペルソナと楽曲を人間が監修・方向付けするこのモデルは、従来の音楽ビジネスの枠組み——レーベル契約、プロモーション、アジア展開——に乗せて動く点が新しい。K-POPガールズ!のHUNTR/Xが「架空グループ」として世界を席巻した流れとも重なる。ティンバランドというグラミー受賞プロデューサーが率いるステージ・ゼロが生み出し、Sunoを制作基盤に使い、アジア市場をPMGが担う——この三者の役割分担は、AI音楽が「技術実験」から「ビジネス設計」の段階に入ったことを示している。フィリピン系というアイデンティティーを持つTaTaがアジア全域で展開されることは、WMGがイ・ヨンジのリアルなラッパーとしてのアイデンティティーを武器にグローバル展開する戦略とは対照的だ。リアルとバーチャルが競合する時代の、新しいアーティスト像がここにある。