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編集長ピックアップ

Netflix・Amazon・Apple、ワーナー・ブラザース取得に意欲 報道

【榎本編集長】

「有料動画配信で競い合うNetflix、Amazon、Appleがワーナーの映像コンテンツ資産の買収競争を繰り広げているようだ。ワーナーの映像コンテンツ資産を持つワーナー・ブラザース・ディスカバリー社(WBD。ワーナーミュージックとは現在無関係)は近年、株価の低迷を受け、分社化を検討中と報道が出ていた。この内、映像コンテンツ資産を持つストリーミング&スタジオ事業の分社化がおそらく買収競争に火を付けたのではないか。ご存知のように有料動画配信は自社製のオリジナルコンテンツが競争の鍵になっており、これはNetflix創業者リード・ヘイスティングが過去のケーブルテレビで起きたコンテンツ競争から学んだことだった。ヘイスティングの戦略は大当たりした一方で、世界最大の映画専門チャンネルHBOが、ネット時代もHBO+(日本ではU-NEXTと独占提携)となって依然として強さを発揮しており、それはHBO+にワーナーの強力な映像資産があったからだった。これが分社化で獲得のチャンスがあるとなると話が変わってくる。オリジナルコンテンツの自社製作で苦戦する競合のApple TV+がコンテンツ資産の買収に動けばNetflixやAmazonも対応しなければならなくなる。既にAppleのクックCEOがワーナーブラザーズの買収を検討していたことは報道されていた。音楽配信ではレーベルの獲得競争は起きなかったが、Spotifyが高価格プランを仕掛けるにあたりオリジナルコンテンツも志向しており、近隣産業で起きたことがどのように影響していくか今後、注視しておいた方がよさそうだ。常識というのはいきなり変わるからだ」

SoundCloud・Bandsintown・DistroKid、独立系アーティスト向け新ツールを相次ぎ発表

【榎本編集長】

「音声共有のSoundCloudは昨年秋よりTuneCoreのようなディストリビューションをアーティストに提供してきたが、この度、月額885円のNext Pro会員ならSpotify、Apple Music、YouTube Musicなどでの楽曲売上がそのままアーティストに入ってくるように。また「ファンサポート」ボタンで、ファンがアーティストへ直接寄付できるようになり、これも手数料無料に。Bandsintownは近所のライブをおすすめしてくれるサービスだが、同社の新しいアーティスト・マーケットプレイスは、Bandsintownと提携する30以上のサービスへのハブになっており、アーティストには非常に便利に。ツアー日程をBandsintownに公開すると同期されるのはTuneCore、Spotify、Apple Music、YouTubeなど音楽配信だけでなく、Google検索、Apple Maps、Shazamなどの検索エンジンにも表示される。またメールキャンペーンもCommunity、Rivet、Openstage、Kitなど外部のファン管理サービスに同期。グッズ販売情報はShopify、Amazon、Linttreeなどに同期される。Distrokidもディストリビューターだが、データ入稿ですぐTシャツなどが作れるプリントオンデマンドを始める。これも便利そうだ」

YouTube、音楽業界への年間支払額が80億ドル突破

【榎本編集長】

「YouTubeが1年で音楽業界に支払った金額が80億ドルを超えた(約1兆2000億円 YouTube ※円の数字が一桁ずれてましたので修正します 11/6)。ここ四年で、ざっくり言って年10%弱の成長率となり、これは世界の音楽ソフト売上(マスター音源 IFPI)の成長率4.8%、音楽出版売上(作詞作曲)の成長率7.6%よりも高い。発表したリオ・コーエン氏は元々レーベル側の人。90年代にビースティーボーイズ、ジェイ・Zなどを当て、デフ・ジャム・レコードを世界有数のヒップホップ/R&Bレーベルに育て、2004年の音楽配信の隆盛期にワーナーミュージックのCEOに就任し、スティーブ・ジョブスとiTunesを推進。2006年に誕生して1年のYouTubeとメジャーレーベル初のライセンス契約を結び、Spotifyの立ち上げもレーベル側からサポートした。2010年代半ばは、YouTubeのバリューギャップ問題の主な批判者となったが2023年、YouTube音楽事業部のヘッドとなって自ら改革に乗り出し、YouTubeは音楽サブスク、広告両面で成長を続けている。2023年に音楽業界でも生成AIブームが始まると、音楽産業トップであるユニバーサルミュージックのグレンジCEOとAI関連の協業をYouTubeで進めてきた。音楽業界ではデジタル時代の象徴的な人物のひとりだ」