世界の音楽著作権(原盤含む)の価値、2024年は過去最高の472億ドル 10年でほぼ倍増
世界の音楽著作権(録音と楽曲の両方)の価値は、2024年に前年比5.2%増の472億ドル(約7兆3,600億円)となり、過去最高を更新した。Spotifyと英国の音楽出版団体「PRS for Music」で首席エコノミストを務めた経験を持つウィル・ペイジ氏が12月17日に公表した報告書で明らかになった
前年から伸びが減速したが、ペイジ氏は「新型コロナウイルスのパンデミックの影響が完全に消えた初めての年であるため」と分析した。2014年(250億ドル)比では、ほぼ倍増している。
内訳は290億ドル(約61%)を録音原盤収入(レーベル)が占め、前年から5%伸びた。136億ドルは著作権管理団体(CMO)によってもたらされ(前年比8%増)、46億ドルは出版社の直接収入(前年比1%減)だった。
過去10年の推移を見ると、CMOは50%増加。レーベルは収益は倍増し、出版社の直接収入は112%拡大した。これについてペイジ氏は「国際音楽出版社連合(ICMP)は長年、出版社が権利を直接ライセンスする能力を擁護し、著作権管理団体の制約を回避する道を開いてきた。今回のパフォーマンスは彼らの主張を裏付けるものだ」と分析した。
(文:坂本 泉)
榎本編集長
「音楽の経済価値が10年で倍増。世界の音楽著作権(原盤含む)の価値が昨年、過去最高の472億ドル (約7兆3,600億円)に到達した。今年はさらに音楽カタログへの投資ブームが起こり、音楽産業への投資額が1兆円超えの82億ドル(約1兆2,792億円)に到達。昨年の46億ドルを80%近く上回っている。つまり音楽著作権(録音と楽曲の両方)の価値はさらに高まっている。背景にはストリーミングの普及、SNSとの著作権契約、さらにAIで音楽カタログの価値(今後、数年でこの音楽カタログがどれくらい稼ぐか)を計算できるようになって、年金基金など金融からも音楽へ資金が集まりだしたことがある」ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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