レディオヘッドのチケット、二次市場に溢れる 厳格な販売プロセスにもかかわらず

レディオヘッドが7年ぶりのツアー(英国・欧州)を発表したわずか数日後、二次販売サイトに投機的なチケット出品(ダフ屋が実際には所持していない座席を出品し、販売成立後にチケットを調達しようとする行為)が相次いだ。Digital Music News(DMN)が9月15日伝えた。
チケットの定価販売を推進する団体「フェイス・バリュー・ヨーロピアン・アライアンス・フォー・チケッティング(FEAT)」は、ドイツの転売プラットフォーム「Ticombo」で、レディオヘッドの公演に関する不正の可能性のある出品を1,750件以上特定。多くは9月12日の公式販売開始の数日前に掲載され、価格は1,500〜4,000ユーロ近く(約26万〜70万円)だった。このうち30枚分は、スイスの転売業者「Worldtix」が総額2万2,000ポンド以上で出品していた。
レディオヘッドは、チケット購入でロック解除コードを申請するよう求め、公式チャンネルでのみ販売するなど転売防止策を講じていた。バンドのマネージャーは、英紙ガーディアンに「政府による強力な規制がない現状では、搾取的な転売業者から観客を守ることはますます困難になっている」と話した。
二次流通プラットフォームを巡っては、米国の「StubHub」が9月17日、ニューヨーク証券取引所に上場した。新規株式公開(IPO)価格は1株当たり23.50ドル。株価は取引開始後に上昇したが、その後は反落。19日には18.46ドルまで下げた。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「オアシスのチケット騒動に続いて、7年ぶりのツアーを組むレディオヘッドでもチケット騒動が起きている。記事にある通りレディオヘッドの運営側は公式チャンネルでの限定販売やロック解除コードの導入など対策を講じてきたが、持っていないチケットを転売するデジタル・ダフ屋が氾濫するのは防げなかった。オアシス復活の際に起きたチケット騒動では英国議会まで議題が上がり規制強化を進めてきたが、転売可能な二次流通サイトで規制をかけない限り対応は厳しいだろう。チケット販売サイト最大手のチケットマスターがオアシス騒動の際に市場の信頼を失ったが、続くレディオヘッドのチケット騒動を反映してか、チケットの二次流通プラットフォームStubHubもIPOで大幅に株価を下げている」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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