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3大メジャー、AI音楽生成プラットフォームSuno・Udioとライセンス契約を交渉 報道

ビジネス 海外

世界3大メジャーレコード会社が、AI音楽生成プラットフォームの「Suno」および「Udio」と和解に向けて、ライセンス契約を交渉しているようだ。関係者の話として、ブルームバーグなどが6月1日報じた。 

ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、レーベル側は、ライセンス料、過去の使用に対する損害賠償、少数のSuno・Udio株の取得を要求。その見返りとして、AI企業側は、新たなコントロールとアトリビューション・システムを導入した上で、メジャーレーベルのカタログを使い続ける権利を得ることになる。 

初期のストリーミング事業者(Spotify)に対するライセンス供与の枠組みとよく似たアプローチで、この手段は後に大きな利益を生むようになった一方、アーティストが交渉にほぼ関与できなかったため物議を醸した。 

今回の交渉は、AI企業による著作権で保護された作品の使用方法やライセンス体系、協議の参加者といった枠組みを確立することとなる。専門家らは、かつて「破壊的イノベーション」(特にストリーミング台頭)時に、クリエイターが排除されてきた歴史が繰り返される可能性を懸念している。 

SunoとUdioを巡っては、全米レコード協会(RIAA)が昨年6月、ライセンス契約なしに著作権で保護された音楽をトレーニングに用いている疑いで提訴。原告側には、世界3大メジャーレコード各社も含まれている。 

AI企業側は「フェアユース(公正な利用)」を主張しているが、同年8月に提出した裁判所への回答文の中で、レコード会社の著作権で保護された録音物を使用したことをほぼ認めた。 

(文:坂本 泉)  

榎本編集長「3大メジャーが音楽生成AIのSuno、Udioに対し裁判を起こしつつ、同時にライセンス供与の交渉を進めている。取引条件は損害賠償、著作権保護システムの導入、そして一部株式の譲渡だ。実はこれ、ファイル共有のナップスターに対しメジャーレーベルが舞台裏で交渉していた内容と同じで、メジャーはナップスターをサブスクに転生させようとしていた。ナップスターはこれを拒否して裁判に負け、倒産したがファイル共有はコントロール不能となった。その後、登場するサブスク版のナップスターは倒産後に名前を買った別会社が作ったもの。Spotifyは初めからサブスクを狙っていたので損害賠償は無く、ただし基本無料をレーベルに受け入れてもらう交換条件として株式を譲渡している。メジャーレーベルはファイル共有から音楽サブスクへの切り替えで得た経験知を音楽生成AIに対しても当てはめようとしている訳である 

 

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。