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係争中の音楽生成AI「Suno」、追加資金調達で企業価値20億ドルに到達も 年間経常収益1億ドルか

ビジネス 海外

AI音楽生成プラットフォームの「Suno」が、1億ドル(約153億円)超の資金調達を交渉中。これにより同社の企業価値は20億ドル超と、前回の4倍に膨らむ見通しだ。情報筋の話として、ブルームバーグが10月17日報じた。

それによると、Sunoの年間経常収益(ARR)は1億ドル以上という。Sunoは2024年、Lightspeed Venture Partners、Nat Friedman、Daniel Gross、Matrix、Founder Collectiveなどの投資家から1億2,500万ドルを調達していた。

Sunoは現在、全米レコード協会(RIAA)を原告とする著作権侵害訴訟を抱えており、敗訴となれば損害賠償総額は数十億ドルに達する可能性がある。一方で、10月には、ユニバーサル ミュージック グループ(UMG)とワーナー・ミュージック・グループ(WMG)がSunoを含むAI音楽企業とライセンス契約間近とフィナンシャル・タイムズ(FT)が報じていた。

(文:坂本 泉)

榎本編集長

「生成AI最大手Sunoの企業価値が20億ドル(約4,000億円強)に。基本的にサブスクなど形状的な売上が立つビジネスが使う年間経常収益(ARR)は1億ドル以上(約150億円)。ざっくり10ドルx12ヶ月で計算すると83万人以上になる(他にPremierや年払い、B2Bがある)。テックベンチャーとしては順調な数字に見えるが、問題は音楽産業と抱える賠償額が数十億ドルに達する可能性があること。同業者のAnthropic社が海賊版経由で学習された50万人の作家(文章雨の方)と15億ドル(約2250億円)で和解しており、SunoもYouTubeから違法に音楽を学習した裁判を抱えている。同時にSunoは記事の通り、ユニバーサルミュージックとワーナーミュージックとライセンス交渉が進んでおり、音楽産業側はSunoを潰すという判断ではない。なおファイル共有を発明したNapsterは天文学的な賠償命令が出たが、その際、メジャーレーベル側はそれと引き換えにNapsterの全株式を取得し、音楽サブスクに転換する戦略を持っていたがレーベル同士の諍いで破断し、破産に至った。現在の音楽サブスクNapsterは2003年に破産後の競売でのれんを買った別企業が立ち上げている。似た戦略、賠償額と引き換えに株式の一部をレーベルが取得する流れは存在する。Spotiyは裁判を経てないがこうした歴史を背景に、サービス立ち上げ時にメジャーレーベルに株式を一部譲渡している」

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。

@musicman_nusicman