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アップル、App Store手数料巡る集団訴訟で敗訴、制裁金3,000億円超も

ビジネス 海外

英国競争審判所(CAT)は10月23日、米アップルがアプリ開発者に不当な手数料を課していたとする集団訴訟について、原告側の主張を認める判決を下した。同社は最大15億ポンド(約3,045億円)の損害賠償を支払う可能性が生じている。

CATは今回、アップルが2015年10月から2020年末にかけて、アプリ流通市場における競争を排除し、開発者に対して「過剰かつ不当な価格」を手数料として請求することで支配的地位を濫用したと裁定。開発者は、アプリ購入時の手数料17.5%と、アップルが請求した手数料(原告弁護士によれば通常30%)との差額を過剰請求され、アプリ開発者が過剰請求額の50%を消費者に転嫁したとの判決を下した。

アップルは「活況を呈し競争の激しいアプリ経済に対する誤った見解に基づいた判決」として控訴する方針だ。

原告側は本件の損害額を約15億ポンドと評価しており、11月の審理では損害賠償額の算定方法と、アップルの控訴許可申請の可否が決定される。

(文:坂本 泉)

榎本編集長

「アプリの売上から30%の手数料を取るいわゆる「Apple税」に対し、イギリスで集団訴訟があったが、Apple側が最大15億ポンド(約3,045億円)の損害賠償をする判決が下った。Appleは控訴の予定。Apple税はアプリ開発者が支払うので気づきにくいが、当然ながら消費者に負担が転嫁されている。EUは今年のDMA(デジタル市場法)施行により、2~20%(かなり複雑な仕組み)に移行する。アメリカではゲーム大手エピック社との裁判で、App Storeの外部でも決済を認める判決が下った。結果、音楽関連では有料サービス案内へのリンクをSpotifyアプリ内で表示できるようになり(App Store外での課金決済につながるリンクはAppleが禁止していた)、有料メンバーへのコンヴァージョン率が上がったのはmusicmanでも取り上げたとおりだ。日本政府は様子見の模様だが、アメリカがEU、イギリスに続けばそれに見習うと予想される。スマホアプリの時代を切り開いたAppleの貢献を私は決して否定するつもりはないが、時代が進み、Appleが小規模開発者のみに認めている15%ぐらいが適当になってきたのかもしれない」

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。

@musicman_nusicman