ブラジルでストリーミング詐欺巡る「画期的な判決」 IFPIが称賛

サンパウロの裁判所は、Spotify、YouTube、TikTok、Instagramなどで偽のフォロワー、「いいね!」、再生を生成したとして、セグイドーレス(Seguidores)・マーケティング・デジタルに事業停止を命じた。国際レコード産業連盟(IFPI)によると、ストリーミング詐欺サービスを標的にしたイニシアチブである「オーセンティカ作戦」に基づく最初の判決となる。
オーセンティカ作戦は、サンパウロ州検察庁が消費者保護部門とサイバー犯罪対策部門を通じて指揮しており、APDIF(ブラジル知的財産権・音楽著作権保護協会)とIFPIラテンアメリカが支援している。捜査当局はこれまでに、ストリーミング詐欺サービスを提供する38の地元ウェブサイトを特定した。
裁判所はセグイドーレスに対し、誤解を招くような広告と消費者詐欺、憲法上の権利侵害の責任を認め、違法サービスの停止、損害賠償の支払い、ドメイン名の停止を命じた。同社は不服を申し立てたという。
IFPIのビクトリア・オークリーCEOは判決について「オンライン音楽環境を操作して利益を得ている人々に対する明確な警告だ」と述べた。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「AIがミュージシャンの仕事を奪うというのはもう現実的に起きていて、AIを活用したストリーミング詐欺の被害額は20〜30億ドル(Beatdapp調べ)と既に日本の音楽売上に匹敵する金額になっている。日本のレコ協も参加するIFPIも対策に乗り出しているが、ストリーミング詐欺の拠点地のひとつブラジルで最近、画期的な判決が下った。詳細は記事に譲るが、サンパウロ州検察庁がIFPIの支援のもと進めた「オーセンティカ作戦」が功を奏した形となった。ストリーミング詐欺の拠点はブラジルの他、東南アジア、東欧、アフリカにあるとされており、音楽業界は国境を超えた協力関係が求められていたが今回は最初の勝利となった」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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