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ビルボード誌の発行元、AI要約巡りグーグル提訴 グーグルは「根拠のない主張」と反論

ビジネス 海外

音楽業界誌ビルボードやローリング・ストーン誌などを発行するペンスキー・メディアは9月12日、「AIによる概要」機能を巡り、米グーグルを提訴した。同社が「検索分野における違法な独占的地位」を利用し、AI要約を通じてニュースサイトからのトラフィックを横取りしていると主張し、損害賠償と違法行為の差し止め命令を求めている。Digital Music News(DMN)などが伝えた。

米大手出版社がAI要約を巡りグーグルを提訴した初の事例となる。

グーグルはかねてAI統合を進めており、検索結果の最上部にAIによる要約を表示する「AIによる概要」や、対話型AI検索「AIモード」オプションを導入。両機能には、情報源となったウェブサイトへのリンクが含まれるが、ペンスキーを含む出版社は、消費者が必要とする情報がAI生成の回答内に含まれているため、リンクを辿る必要性がほぼないことが多いと指摘している。

ペンスキーは、グーグルは出版社のウェブサイトを検索結果に含める際、その記事をAI要約にも使用できる場合にのみ掲載しており、検索分野での支配的地位を利用してこの条件を押し付けられたと主張。検索トラフィックの減少により、自社のアフィリエイト収入が2024年末までにピーク時から3分の1以上減少したと訴えた。

グーグルの広報担当者は「同機能はより多様なサイトへトラフィックを誘導しており、われわれはこの根拠のない主張に反論する」とコメントしている。
(文:坂本 泉)

榎本編集長「音楽メディア対AIのニュース。世界で音楽業界誌トップのビルボードと音楽誌トップのローリング・ストーン誌の両方を持つペンスキー社が「GoogleがAI要約でニュースサイトのトラフィックを横取りしている」と提訴した。グーグルが5月にAI検索を導入して以来、AIのまとめを読んでソースの記事へは飛ばなくなったことで、アメリカではニュースサイトのトラフィックが激減し、リストラも始まっている。今月にはアメリカでの裁判でGoogleが提出した書類に「ウェブは急速に衰退している」と掲載されている。スマホ・アプリの普及でウェブサイトは衰退、そして今回のAIでさらに衰退する兆しを見せているが、これはGoogleも同様にピンチで、AI検索が急速に普及したことでGoogle検索離れが進んでおり、GoogleもAIに対応したがAIの勢力図でGeminiは完敗の状態。巻き返しを図るべくGoogle検索でAIまとめを標準搭載しているが、元記事へジャンプする人が減れば柱のひとつであるアドセンス広告も自動的に打撃を受ける状態だ。日本では今月9月上旬にGoogleのAI検索は本格導入されている。今後、日本の音楽メディアでも同様の現象が起こってくると思われるので注視していきたい。今のところMusicmanの音楽業界ニュースは私が編集長になってから伸び続けている」

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。