Spotify、「アーティストページの保護」機能を試験導入 ディープフェイク対策
ディープフェイクの増加を背景に、Spotifyは3月15日、楽曲の公開前にアーティストが内容を確認・承認できるオプトイン機能「アーティストページの保護」の試験運用を開始すると発表した。
Spotifyは「アーティストのアイデンティティー保護が2026年の最優先事項となった」と表明。リリースされる楽曲に対する管理権限の強化は「過去1年でアーティストから最も多く寄せられた要望の一つ」だと説明した。
新機能は、過去に誤ったリリースが繰り返されたり、一般的なアーティスト名であったり、プロフィールの表示内容をより管理したいと考えたりしているアーティスト向けに設計されている。
ベータ版の対象アーティストは「Spotify for Artists」の設定画面で同機能を有効にすると、自分の名前が記載された楽曲をSpotifyが受け取った際にEメールを受信。対象リリースを承認または拒否でき、承認されたリリースのみが自身のアーティストプロフィールに表示され、カタログ、統計、レコメンデーションに反映される。何らかの対応を行わないとブロックされ、正当なリリースが遅延する可能性がある。
(文:坂本 泉)
榎本編集長
「過去1年でアーティストから最も多く寄せられた要望の一つ」——この一文が、現在の音楽業界の切実さを物語っている。Beatdappの調査では全ストリームの1割以上が詐欺で、世界の音楽産業から毎年最大30億ドルが失われているとされる。ディープフェイクとなりすましの急増で、アーティストは自分の名前がついた楽曲が無断で公開されるリスクに常にさらされている。Spotifyが「事前承認」という仕組みをアーティストに提供したことは、プラットフォームとアーティストの力関係の小さくない変化だ。これまでストリーミングプラットフォームは「届ける側」として強い立場にあったが、アイデンティティー保護という文脈では「アーティストの意志を実装する側」へとロールが変わる。オプトイン方式のベータ版という慎重なスタートも、正当なリリースの遅延という副作用を意識してのことだろう。「自分の名前で何が出回るか」を管理する権利の議論が、業界の主要テーマになってきた。ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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