ソニー・ミュージック、13.5万件のディープフェイク削除要請
ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)は、ストリーミングサービス上で自社アーティストになりすましてアップロードされた13万5,000曲以上の楽曲について、削除を要請した。SMEのグローバルデジタルビジネス担当プレジデントを務めるデニス・クッカー氏の話を元に、英公共放送BBCが3月19日伝えた。
削除された楽曲の中には、ビヨンセ、クイーン、ハリー・スタイルズを題材にしたAIディープフェイク作品も含まれている。クッカー氏は「最悪の場合、(ディープフェイク)はリリースキャンペーンに悪影響を及ぼしたり、アーティストの評判を傷つけたりする可能性がある」と指摘。AI技術がより安価で利用しやすくなるにつれ、AI生成曲の数は増え続けており、13万5,000曲はディープフェイク全体のほんの一部に過ぎないと述べた。
同社は2025年3月以降、自社アーティストが参加していると偽って公開された楽曲を約6万曲特定。影響を受けたアーティストには、バッド・バニー、マイリー・サイラス、マーク・ロンソンらが含まれる。
クッカー氏は「ディープフェイクの問題点は、需要に左右される現象ということ」と主張。アーティストが世の中で自身の音楽を宣伝しているという事実を利用し、アーティストが作り出した需要を土台にして利益を得て、アーティストが成し遂げようとしていることを台無しにすることがディープフェイクの最も悪質な点だと指摘した。
(文:坂本 泉)
榎本編集長
ソニーが1年間で13万5,000曲以上のAIディープフェイク削除を要請した。しかもこれは「ほんの一部」だという。IFPI(国際レコード産業連盟)が今年の最新レポートで「ストリーミング詐欺は盗みだ」と言い切り、対策を最重要課題に掲げた背景には深刻な数字がある。Deezerでは1日6万曲以上のAI生成楽曲が流入し、そのAI音楽ストリームの85%が詐欺だった。Beatdappの調査では、全ストリームの1割以上が詐欺で、世界の音楽産業から毎年最大30億ドルが失われているとされる。クッカー氏の「需要に左右される現象」という指摘は的確で、人気アーティストへの需要がある限り偽作品は作られ続ける。削除要請はいたちごっこだ。Apple Musicの「AI申告タグ」、ソニーの「帰属分析技術」、グーグルのSynthID——出所の証明という仕組みを音楽業界は、同じく被害者であるプラットフォームと協力しながら構築しようとしている。ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
ポッドキャスト概要:
Musicman Podcast — 業界の“今”を深掘り
「Musicman大学」は世界の音楽業界の最新トピックスを解説。講師は『音楽が未来を連れてくる』の著者、Musicman編集長・榎本幹朗。「Talk&Songs」は月間500組ものアーティストニュースを担当するKentaが選ぶ、今聴くべき楽曲と業界人必聴のバズった曲を解説。
Spotifyでポッドキャストを聴くプレイリスト概要:
記事連動セレクション — エピソードと繋がる楽曲たち
月間500のアーティスト記事から厳選した楽曲と、業界人必聴のバズ曲をプレイリストで。最新シーンの決定版!
Spotifyでプレイリストを聴く@musicman_nusicman
広告・取材掲載