2025年、音楽業界に数十億ドルの資金が流入 DMNが音楽業界の資金調達を概観
音楽業界内および業界周辺の資金調達に関するデータベース「音楽産業資金調達トラッカー」を展開するDigital Music News(DMN)が、2025年の音楽業界の資金調達を概観している。
DMNは、最も重要なのは音楽IP(知的財産)向けに巨額資本が割り当てられたことだと指摘。これにはポップハウス・エンターテインメント(13億ドル)や、ワーナー・ミュージック・グループ(WMG)とベインキャピタル(12億ドル)の音楽投資ファンド立ち上げが含まれる。サーキット・キャピタル、ゴールドステート・ミュージック、ハーバービュー・エクイティー・パートナーズはそれぞれ、音楽IP(および関連投資)に充てるため5億ドルずつ調達。また、資金担保証券(ABS、楽曲カタログなどを担保に証券化)は、通年で数十億ドルを生み出した。特筆すべきは、資金流入が継続していることで、カタログ分野はさらなる取引成立が期待される。
また、ライブエンターテインメントの減速懸念が根強いにもかかわらず、投資家は2025年にフィーバー(1億ドル)やパームツリー・クルー(2,000万ドル)といったプレミアムイベント専門企業に巨額を投じた。フェスティバルの相次ぐ中止、ツアーのキャンセル、(2025年の)コーチェラ・フェスティバルの売り上げ減も考慮すると、このサブセクターにおける再編の始まりとなる可能性もあるとみている。このほか、複数の訴訟で存続も危ぶまれる音楽生成AI「Suno」が、評価額25億ドルで2億5,000万ドルを調達したことも注目に値するとしている。
(文:坂本 泉)
榎本編集長
「音楽業界への空前の投資ブームが昨年起き、通年で80億ドル(約1兆2300億円)にも登った。これはSunoなど音楽生成AIといった隣接事業を除いた金額。楽曲カタログがストリーミングの普及で安定収入が見込める不動産ビルのような優良資産になり、証券化されて米国年金基金など金融系からの投資を受けるようになったのが大きい。何度か伝えてきているが、ワーナーミュージックが投資会社と組んだ音楽ファンドの12億ドルを始め、サーキットなどがそれぞれ5億ドル規模を調達している。ライブ関連は減速傾向のなか投資が進んでおり、記事にある通り業界の再編が始まっている兆候かもしれない。日本ではまだこうした音楽投資ブームは始まっていないので今年の動きに注目したい」ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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