ワーナー・ミュージック、ベインキャピタルと合弁設立 音楽カタログ購入に1,800億円投入

ワーナー・ミュージック・グループ(WMG)は7月1日、米国の投資ファンドベインキャピタルと、音楽カタログの買収に向けて、折半出資の合弁事業を立ち上げたと発表した。WMGのインフラとベインの財務力を組み合わせて、録音原盤と音楽出版の両分野にまたがり、最大12億ドル(約1,762億円)を投じる。
両社は共同でカタログの調達と取得を行い、WMGがマーケティング、流通、管理の全ての側面を担う。
WMGのロバート・キンセルCEOは「弊社の深い専門知識とグローバルなインフラを、ベインキャピタルの優れた金融手腕と音楽に対する信念で補強することで、卓越したカタログの提供先として選ばれるようになるだろう」とコメントした。
WMGはレッド・ホット・チリ・ペッパーズの原盤権を約3億5,000万ドルで取得することを検討していることが報じられており、Music Business Worldwide(MBW)は同合弁事業から資金が迅速に投入される可能性があると指摘している。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「ワーナーミュージックが最大12億ドル(約1,760億円)を投じて音楽カタログを買い集めるため、米著名投資会社ベインキャピタルと合弁事業を設立。音楽の契約や著作権がストリーミングとSNSに対応したことで近年、音楽カタログは不動産ビジネスのように堅実な収益を生む優秀な投資先に変わった。結果、たとえばソニーミュージックはクイーンの包括的な権利カタログに推定12億ドル)、ピンク・フロイドの原盤カタログに最大4億ドル、マイケル・ジャクソンの権利カタログの50%に6億~7億5,000万ドルと投資金額が高額化している。ワーナーミュージックの株主Access Industries(アクセス・インダストリーズ)も投資会社だが、上場会社(WMG)として資金効率を高めるため新たにベインキャピタルをパートナーに引き寄せたように見える。アクセス・インダストリーズはWMGの他にDAZNの株主でも有名。ベインキャピタルの有名な投資先はLinkedIn、ドミノ・ピザ、日本ならすかいらーく、最近韓国に売られたADKなどがある。なおユニバーサルミュージックの主要株主はフランスの大富豪ヴィンセント・ボロレ一家の持つメディア財閥Vivendi。完全子会社だったが2021年に上場させている。ソニーミュージックに関しては説明不要だろう」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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