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三大AIのアンソロピック 歌詞をファイル共有したと大手音楽出版らが訴訟を拡大

ビジネス 海外

AIチャットボット「Claude(クロード)」を手がける米Anthropic(アンソロピック)を相手に起こした著作権侵害の訴訟を巡り、音楽出版社グループは新たに、アンソロピックが分散型ファイル共有システムのBitTorrentを利用して著作権保護された素材を海賊版化し、他者と共有したと主張。ライセンスなしに歌詞を配布したとして、新たな損害賠償請求を提起する可能性がある。

ユニバーサル ミュージック グループ(UMG)およびアブコ(ABKCO)ミュージック&レコーズ、コンコード・ミュージック・グループは2023年、アンソロピックが少なくとも500曲の歌詞を基に、Claudeを訓練したとして提訴した。

今年8月11日に米連邦地方裁判所に提出した文書の中で、音楽出版社側はアンソロピックがBitTorrentを使って著作権のある歌詞を海賊版にしていた事実を隠していたと指摘。作家グループが起こした別の対アンソロピック訴訟で示された証拠により、同社のBitTorrentの使用を知ったとしている。

この作家グループによる訴訟の中で今年6月、アンソロピックがAIを訓練するために書籍を無許可で使用することは、米国の著作権法ではフェアユース(公正な利用)だが、海賊版の書籍の利用はフェアユースに当たらないとの判決が下された。

BitTorrentは、ダウンロードと同時にアップロードする仕組みとなっているため、海賊行為を行っている他のユーザーにも歌詞をアップロードしていたこととなる。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「ChatGPT、Geminiと並ぶ三大AIのClaudeを運営するアンソロピック社は著作権のある歌詞をAIに無断学習させたことを既に裁判で一部認めているがこの度、アンソロピックがその歌詞をファイル共有(BitTorrent)で拡散させたという証拠を大手音楽出版社らが突きつけ、訴訟を拡大したことが話題になっている。記事の通り、裁判所は無断学習自体は記事の引用と同じフェアユースの範囲内という判例を示しつつも、大手AI会社が疑われている海賊版で得た著作物の学習は違法と判断している。そして正規・非正規を問わず学習した著作権のある歌詞を無断で拡散させた場合は、ファイル共有関連の判例で違法になる可能性は高い。最も重要なのは直近の判決で海賊版の無断学習があったことを裁判所は認定しつつも、具体的な被害額の根拠が薄いと損害賠償を認めなったので今回、ファイル共有がからむとそこも話が変わってくる点だ。ファイル共有を発明したナップスターは天文学的な損害賠償額を音楽側に支払う判決を受け破産している」

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。