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書籍の著作権訴訟でAI企業が勝利、音楽業界に意味することは? Music Ally分析

ビジネス 海外

米AI新興企業Anthropic(アンソロピック)と米メタ・プラットフォームズがそれぞれ、AI訓練で書籍を無断使用したとして作家グループから著作権侵害で訴えられたことについて、いずれもAI企業に有利な判決が下った。この2件の判決から音楽業界が得られる重要な気付きについて、Music Allyが分析した。

・権利者は、市場弊害の詳細な証拠を提出する必要がある
提訴する企業のモデルが、特定の市場(ストリーミング、シンクライセンス、ストックミュージックなど)で競合する音楽を生み出す可能性があり、その希釈化の証拠(ロイヤリティー低下やライセンス機会の喪失など)が既にあることの証明が求められる。

1)権利者は、AIのライセンス契約を締結するための努力について詳細を提供する必要がある
著作権管理団体経由の契約から直接契約まで、適切な市場が発展していることを裁判所に示すことが重要になるとみられる

2)AIモデルの出力による直接的な侵害は、決定的な証拠となり得る
AIが学習させた音楽の歌詞を大量に出力したことが発覚すれば、法的には大きな問題に。

3)AI企業が非正規の訓練データをどのように入手するかが鍵になる可能性も
音楽生成AI企業が、モデルの訓練で海賊版サイトから音楽をダウンロードしたことが発覚した場合、フェアユース(公正な利用)の主張が通るかは依然として不明。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「著作権という点で音楽と同じ立場の作家グループのメタ社、アンソロピック社に敗訴した件。3日前、私は(A)AIの生成物から元ネタを判別する技術の登場 B)AIがその学習材料でどれだけ稼いだか(C)著作権者側の被害額の証明 のみっつのポイントを挙げたがMusicallyは(1)権利者がAI側とライセンス交渉をしていたか(2)歌詞などでモロ出しの出力が大量にあったか(3)AIが海賊版サイトから学習させていたか をポイントに挙げている。補足すると(1)は今メジャーレーベルが積極的にAI側と交渉している。(2)はSunoが裁判で認めた。(3)は大手AIはみんなやっているのではとインサイダーが言及している。合わせて参考にしていただければと思いピックアップした」

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。