レーベル連合、大手音楽出版と 提携した音楽生成AIプラットフォーム誕生

音声生成AIを手がけるイレブンラボ(ElevenLabs)は8月5日、インディペンデントのデジタル音楽ライセンスパートナーであるMerlin(マーリン)および音楽出版社のコバルト・ミュージック・グループと提携し、音楽生成AIプラットフォーム「Eleven Music」を立ち上げたと発表した。
自然言語のプロンプトから、スタジオ品質の音楽を生成。あらゆるジャンルやスタイルのトラックを、ボーカルの有無にかかわらず、日本語を含む多言語で、数分で作成できる。
イレブンラボは競合ひしめく音楽生成AIの分野に参入することとなるが、主要な権利者とライセンス契約を結んでいることが、SunoやUdioなどと異なる。
マーリンとコバルトが代表を務めるアーティストおよびソングライターは、今後数カ月のうちにリリースを予定している後続モデル「Eleven Music Pro」の開発に参加できるようになる。
Eleven Musicの利用規約では、実在するアーティスト名や曲名など特定のプロンプトの入力、権利者の音楽著作権を故意に侵害すること、ディープフェイクを禁じている。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「音楽生成AIのSunoやUdioが音楽の権利処理をせず開発され裁判が続いているが、今回、欧州のインディーズレーベル連合Merlinと、音楽出版で世界売上4位相当のKobaltという世界的な大手と提携した音楽生成AIプラットフォーム「Eleven Music」が立ち上がった。Merlin、Kobaltと契約するアーティストは開発に参加でき、相応の収益を得られることになる。現在、選出のSunoとメジャーレーベルでライセンス交渉が進んでいるという報道もあるが、こうした先例ができたことは音楽産業側からすると大きな一歩となる。画像生成AI大手のStable Diffusionも新CEOがクリエイターへの金銭的還元を可能とするAIプラットフォームに乗り気。時代が少し進んだ感がある。かつてファイル共有が席巻したとき「有料の音楽配信は不可能」とされたが、スティーブ・ジョブズやその後のSpotify創業者エクはレーベルとライセンスを締結して時代を切り開いた。同じことがAI時代にも起きようとしているのかもしれない」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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