広告・取材掲載

広告・取材掲載

著作権侵害で提訴された音楽生成AIのSuno、バージョン「v5」をリリース

ビジネス 海外

AI音楽生成プラットフォーム「Suno」は9月23日、最新バージョン「v5」を発表した。「これまでで最も先進的な音楽モデル」と称し、「音楽家のように作曲し、共同作業者のように適応し、かつてない創造性を発揮する」と主張している。

前バージョン(v4.5)との違いについて、ゲオルグ・クツコCTOは「音楽の構造、忠実度、全体の構成だけでなく、多くの点が改善されるはず。おそらくより重要なのは、当社プラットフォームにおける今後の多くの機能や能力を支える基盤となることだ」と説明。「音質の飛躍的向上」を実現し、「自然で本物らしいボーカル」と「前例のないクリエイティブコントロール」を提供するとしている。

併せて、新たなモデルを統合したオーディオワークステーション「Suno Studio」の計画を公表。ドラム、シンセサイザー、ボーカルといった個々の要素を削除・追加して楽曲を再構築でき、新機能「サンプルから楽曲へ」により、ユーザーが短い音声スニペットをアップロードして完全な楽曲へ展開することも可能となる。録音したギターラインやボーカルを、ジャンル変更しながらAI生成トラックに統合もできる。

v5の展開は段階的に進められ、当初は有料ユーザーのみに提供。無料ユーザー向けには、大幅なアップグレードが間もなく発表されるという。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「音楽生成AIで最も品質の高いSunoがバージョンアップ。5の特徴はAI特有のノイズ(シャイマー)が大幅に軽減されたり、ボーカルで苦手だったウィスパー、ビブラート、日本語など英語以外の不自然さが改善、異ジャンルの融合がより自然になるなど、「AIっぽさ」が改善されることになった。合わせてDAWとの融合が進んでおり、今回のバージョンアップでステムをエクスポートできるようになったり、ガレージバンド風のDAWがSunoで用意される計画も発表された。この部分はSunoがウェブベースのクラウドDAW「WavTool」を買収した6月末から予想されていたことでもある。他にも処理速度の向上やなど、プロユースを意識した出来になっていることからSunoの目指す世界が感じ取れる。個人的にはAIっぽさを逆に強調・コントロールできるパラメーターが用意されたほうが新しい楽器としてむしろブームを起こすと見ている。エレキのディストーション、DJのスクラッチ、EDMのコンプなど開発者からすると間違った使い方が新しいジャンルを産んできた歴史があるからだ」

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。