ユニバーサルとソニー、AI音楽の著作権侵害の検出で研究機関と協業 「画期的なニューラルフィンガープリンティング技術」採用へ

ユニバーサル ミュージック グループ(UMG)とソニー・ミュージックは、大規模音楽モデルの研究機関「SoundPatrol(サウンドパトロール)」との提携を発表。AI生成音楽における著作権侵害を検知するため、「画期的なニューラルフィンガープリンティング技術」を採用する計画だ。
スタンフォード大学発のサウンドパトロールは、特許出願中の音楽分析手法「音声・映像フィンガープリント用フォレンジックAIモデル」を開発。この技術はニューラル埋め込み(音楽などの要素を数値に変換する方法)を活用し、音楽の意味的関係を捕捉・分析することで、完全または部分的にAI生成された音楽コンテンツにおいて、人間が創作したオリジナル音楽の影響を特定する。
現在の音楽フィンガープリンティング技術は音楽断片の完全一致を検索するが、サウンドパトロールの技術はカバー曲、リミックス、AI生成の派生作品も検出可能という。
対AI企業の訴訟の多くで、音楽企業側が楽譜や歌詞の比較に依拠し、AI生成楽曲が人間の創作物を盗用したと主張する中、サウンドパトロールのデータが主張の裏付けとなる可能性がある。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「世界の音楽売上の半分を担うユニバーサルミュージックとソニーミュージックがAI生成音楽の新技術でタッグを組んだ。AIが生成した楽曲は素材を坩堝で溶かし合わせた状態なので、歌詞はなんとかなってもサウンドの元ネタを追跡、特定するのは技術的に困難と言われてきた。記事のとおり「画期的なニューラルフィンガープリンティング技術」でオリジナルを追跡、影響度を特定できるなら生成AIは盗用されたアーティストの敵から味方(ビジネスパートナー)に変わる可能性すら持つ。実用レベルに達すれば大きなイノヴェーションとなるだろう」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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