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米録音原盤市場、2025年上半期は0.9%増の8,227億円 サブスク会員は6%拡大

ビジネス 海外

全米レコード協会(RIAA)は9月9日、2025年上半期(1〜6月)の同国の録音原盤市場が卸売りベースで55億8,900万ドル(約8,227億円)と過去最高を記録したと発表。前年同期比0.9%拡大した。

なお、RIAAは今年から報告基準を従来の小売ベースから卸売りベースに変更。国際レコード産業連盟(IFPI)などの報告書で採用されている国際基準に合わせることで、より明確に実態が伝えられるとしているが、この変更により前年比の数字に影響が出ている。

総収入の84%を占めるのはストリーミング配信で、46億7,800万ドルと2.3%拡大。プレミアム有料サブスクリプションの契約数は1億530万件で6.4%増加した。

ストリーミング収入のうち、プレミアム有料サブスクは6.3%増の28億8,800万ドル。一方、無料ストリーミング(広告付きサービス)は2.9%減の8億7,500万ドルで、上半期としては少なくとも2014年以降で初めて減少したとDigital Music News(DMN)は指摘している。

非プレミアム有料サブスク(限定カタログまたはデバイス制限付きサブスク)は0.4%減の2億6,300万ドル、その他ストリーミング(ライセンスに基づくデジタルラジオサービスなど)は5.3%減の6億5,300万ドルだった。

フィジカルは5.9%減の5億7,600万ドル。このうち、アナログレコードは出荷枚数(2,210万枚)と金額(4億5,700万ドル)で共に1%縮小。CDの出荷枚数は1,170万枚)、売上高は1億800万ドルと、いずれも22%落ち込んだ。

シンクは7.9%減の1億9,600万ドルとなっている。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「アメリカの音楽ソフト売上、今年上半期は前年同期比0.9%増。同時期、インフレ率は毎月3%弱で推移しているので実質、売上は下降している。ただアメリカもようやく国際基準の卸値ベースに変更があったので、その影響も考えられる。内訳を見ると有料サブスクは6.3%増で、YouTubeなど無料ストリーミング(広告付)は2.9%減。音楽サブスクの停滞が報道されつつも有料会員売上6.3%増は頑張っているように見えるが、前年同期比でSpotifyが9%値上げ、YouTube Musicが10%値上げ、Amazon Music Unlimitedが10%値上げ、Apple Musicはそれより早く値上げ済み(シェア3割ほど)と、10%前後の値上げラッシュがあったのを考慮すると6.3%増は決して楽観視すべき数字ではない。サブスク景気終了という私の見立てに変更はない」

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。