エスエム・エンタ、音楽テックVersesと提携 AI生成ラップ音楽プロジェクト始動

韓国のエスエム・エンタテインメントは、同国の音楽テック新興企業Versesと提携し、マルチモーダルAIラップ生成ツール「Rappie」の開発を進めている。Versesは6月にRappieのベータ版を公開し、10月に正式リリースを予定している。
Rappieは、テキスト入力により、ラップの歌詞、ボーカル、および伴奏動画を自動で生成。ユーザーは曲の雰囲気に合わせて仮想ステージを選択でき、アバターが生成された音楽に合わせて表情や体の動きを同期させながらパフォーマンスする。
今回の提携により、著名な作曲家との共同制作する公式楽曲のリリース、没入型拡張現実(XR)コンサート体験を提供することで、アーティストとファンの交流の在り方を再定義することを目指す。
両社は昨年、メタバースを活用したインタラクティブ音楽体験「aespa world」の展開でも協業していた。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「たぶん伸びないが重要なヒントが隠された記事。K-POPブームを作り上げたエスエム・エンタテインメントがAIラップ生成ツール「Rappie」を開発中。私も新潮の連載やインタビューで「最もAIに適したジャンルはヒップホップ」と述べてきたが、「AIがライムで刻む日」で描いたGoogleのヒップホップ用AIはプロのラッパーの創作を支援する設計思想であった。対して、今回の「Rappie」はゲーム感覚でヒップホップを生成できるだけでなく、アバターを仮想空間でパフォーマンスさせるなど一層、未来感のあるものになっている。音楽を聴くツールはSpotifyが進化の頂点に到達したが、次のビジネスチャンスとして広がっている音楽で遊ぶツールはTikTokが最終解でもないので、次の答えをどこが出すか。その成功例として中国テンセント・ミュージックについて5年前、拙著でも扱ったが、ようやくAIを使った新しい遊びが生まれようとしているのかもしれない」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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