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中国テンセント・ミュージック、「高音質が鍵」の高価格帯プランが好調 第1四半期は大幅増益

ビジネス 海外

中国最大の音楽配信サービス運営会社テンセント・ミュージック・エンタテインメント・グループ(TME)は5月13日、2025年第1四半期(1〜3月)の純利益が43億8,800万人民元(約871億6,600万円)となり、前年同期比186.8%増加したと発表した。  

総売上高は8.7%増の73億5,600万人民元。ソーシャルエンターテインメントサービス部門・その他は15億5,200万人民元と11.9%縮小した半面、オンライン音楽サービスは58億400万人民元で15.9%伸びた。 

このうち、音楽サブスクリプションの売上高は16.6%増の42億2,000万人民元だった。 

オンライン音楽プラットフォームの月間平均利用者数(MAU)は4.0%減の5億5,500万人。一方で、3月末時点の有料会員数は1億2,290万人と8.3%伸び、有料会員1人当たりの月平均課金額(ARPPU)は11.4人民元で7.5%拡大した。 

同社はARPPUの改善について、高価格帯プラン「スーパーVIP(SVIP)」が好調だったと説明。SVIP会員の50%が高音質を「積極的」に楽しんだとしている。 

TMEは音楽配信サービス「QQ Music( QQ音乐)」「Kugou(酷狗)」「Kuwo(酷我)」のほか、ソーシャルカラオケゲーム「WeSing(全民K歌)」を運営している。 

(文:坂本 泉)  

榎本編集長「音楽サブスクの世界2位はApple Musicでなく中国Tencent Musicと昨日も書いたが、このTencent Musicが独自の進化を遂げ、Spotifyが新しいプランの参考にしているなど先進国の音楽産業から注目を集めている。中国では音楽=無料の意識が強く、Spotifyの基本無料を真似て音楽サブスクを始めたら効果があるかと思ったらうまくいかなった。そこで聴き放題にカラオケと投げ銭(ギフティング)を付け、さらにLINEのようなSNSと統合したらこれがおばちゃんたちから火が付き大ブームに。ただあまりにも儲かりすぎて日本でのソシャゲのように問題化して中国共産党政府の規制が入り、売上(ソーシャルエンターテインメント売上)が激減。なんとかしようと今度は先行配信やチケット先行そして高音質を付けたVIPプランを始めたらこれが受けて売上が回復。これを先進国で普及が終わって有料会員の伸びが悪くなったSpotifyが参考にして通常の1.5倍の月額のMusic Proプランが登場しようとしている。SpotifyとTencent Musicは株式を相互持ち合いしているので情報の行き来がある。中国=物真似と思い込んでいると時代遅れになりかねないケースのひとつだ」

 

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。