Spotify、米加入者1〜2月で5%減の報道否定も詳細明かさず

Digital Music News(DMN)は5月9日、ある大手音楽コングロマリット(複合企業)の情報筋から流出したデータを元に、Spotifyの米国内の加入者数が2025年の最初の2カ月間で約5%減少したと報じた。これに対し、Spotifyは有料会員数は「全地域で」増加しているとして否定したが、米国または北米の統計内訳を明らかにすることは避けた。
DMNは「確かに、これは完全な四半期の数字ではなく、月ごとの変動も珍しくない」とするものの、Spotifyが次回の値上げで米国を対象外としたことには理由があるとみている。DMNはかねて、有料ストリーミングが頭打ちになっている兆候が表れる中、世界トップの音楽市場である米国でストリーミングサービス加入者数が減少傾向にあるとも指摘している。
Spotifyは2025年第1四半期(1〜3月)の決算の中で、有料会員数が前年同期比12%増の2億6,800万人となったと発表。しかしDMNは、これら加入者のうち、北米や西欧のようなARPU(1ユーザー当たりの平均売上高)の高い地域以外の割合はどの程度か疑問を投げかけている。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「また音楽サブスクが先進国で停滞している話題。Spotifyの有料会員がアメリカで今年1〜2月に5%、減ったというリークがあったとDMNが報じた件に関し、Spotifyは世界全体で増加していると反論したものの議論となったアメリカでの会員数に関しては言及を避けた。DMNは別の記事にてアメリカで音楽サブスクの渡り歩きが起きているとも報じている。実際、RIAA(米レコ協)の発表でも米国内での音楽サブスク契約者数は11.3%増(2021)→9.5%増(2022)→5.7%増(2023)→3.3%増(2024)と年々減速しており、今年辺りSpotify にてマイナスの月が出ても不思議な話ではない。既にアメリカを本拠とするグローバルメジャーはスーパーファンなどサブスクの次のビジネスモデル開発に昨年初めから注力している」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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