Spotify、今夏に米国以外で相次ぎ値上げか 新興市場で「Mini」プラン廃止

Spotifyは今夏、米国を除く数十カ国で値上げを計画しているようだ。早ければ6月にも欧州と中南米で、個人プランを1ユーロ(163円)ほど引き上げる予定という。関係者の話として、フィナンシャル・タイムズ紙(FT)が4月26日伝えた。
既にベネルクスなど一部の地域で再値上げを開始しているが、今夏にはより広範囲に広がるという。
報道について、Spotifyはコメントを控えている。
同社は昨年7月に最大市場である米国で値上げを実施したが、2024年の同国における有料契約者の伸びでApple Musicに遅れをとっていた。
この4月にはオランダ、ベルギー、ルクセンブルクで月額料金を引き上げると共に、エジプトやインド、南アフリカなど複数の新興市場で「Mini」プランを廃止。Miniは、通常プランよりも低価格で、1週間単位(国によっては1日単位)でモバイル専用の有料サービスのアクセスを提供していた。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「Spotify、夏に月額160円ほど値上げかというニュース。米国以外で、ということなので日本も入るかもしれない。クオリティペーパーのフィナンシャル・タイムズによる報道なので信憑性はありそうだ。合わせて低所得の新興国でやっていたお手頃プラン(Mini)も廃止予定という。Miniは一週間単位または一日単位のサブスクで、かつてのレンタルCDに近く興味深かった。私も「サブスク何それ?」の頃にやってみたらいいのではないかと提案していたが、世界的にもサブスクが音楽生活のデファクトになった今は新興国であっても基本無料があれば不要な気がする。米国など先進国で有料会員が伸び悩むなか値上げして大丈夫かという見方もあるが、伸び悩んでいるからこそ値上げしか残っていないという判断もある。Spotifyは昨年Q4に初の黒字化を達成して、投資資金の回収モードに入ったともいえる。あとは高価格帯プランやスーパーファン絡みなど深掘りのビジネスモデルを追求していくことになるだろう。サブスクはインフレを換算するとまだCD時代に匹敵する黄金時代を再構築したと言い切れない状況なので、値上げは音楽ファンには不評かもしれないがアーティストにとっては朗報といえるかもしれない」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
関連リンク
- FT:Spotify to raise subscription prices outside the US
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