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【ライブレポート】KIRITOが見せた「未来を創る」意思と視点の転換「Phantom X – Switch screen –」

アーティスト

KIRITO

「祈ること、諦めないこと、何も捨て去らないこと、それが未来を創る」

7月26〜27日KANDA SQUARE HALLにて、「KIRITO Acoustic live 25’「Phantom X – Switch screen –」」2days公演が開催された。

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この「Phantom」と冠したアコースティックライブは、KIRITOが2022年より継続的に実施しているもので、同会場での初開催から今回で丸3年、シリーズ第10弾を迎えた。

去る6月の「ZERO POINT FIELD」ツアーファイナル・EX THEATER ROPPONGI公演に続き、この二日間もチケットは完売。サポートを務めるJOHNと共に、アコースティックギターと歌のみというシンプルな編成で、KIRITOの全キャリアの中から選曲された秀逸なセットリストによって、濃密なステージを展開していった。

KIRITO自身の人生が描かれた「Storyteller」をもって、〈決して消えない確かな言葉を綴ろう〉と、決意を示す幕開けとなった第一夜。さまざまな場面を経ていく中で、例えば「Beginning」での〈君を連れていく〉、「螺旋」での〈痛みは増すほど強さに変わった〉など、KIRITOが自身の胸をトントンと打つ姿がいつにも増して多く見られたように思う。

また中盤において、「息子だけが自慢だと言っていたらしいです」「孤独で悲しい人でした。でも、僕にとってはたった一人の愛する父でした。どこかで見てくれているかもしれないので、皆さん温かい気持ちで聴いてください」と披露されたのは、KIRITOが亡き父へ向けて2020年に制作した「ティアドロップ」。その楽曲を熱を込めて歌い上げた後、「SIGHT」「CRUELWORLD」「BIRTHDAY」で物事の終わりや世界の残酷さと同時に、新しい誓いや鮮やかな光、諦めない者だけに訪れる可能性、そして存在そのものへの肯定と祝福が表現された流れは、実に印象深いものだった。

「世界は確実にぶっ壊れていってるなと思います。僕の芯はブレないので、年を重ねた者の役割として、若い人たちのために道を綺麗に整えて進んでいきたいと思います。祈ること、諦めないこと、何も捨て去らないこと、それが未来を創るんだと思います」――こうKIRITOが述べたのは、第一夜のラストナンバー「壊れていくこの世界で」を披露する直前のこと。だがそれは、ここに至るまでの数々の楽曲にも通底しているものだった。

改めて記すと、本公演のサブタイトルに掲げられたのは「Switch screen」。物理的な意味では画面の切り替えを指すが、比喩的に捉えれば、“状況や視点の変化・転換”を象徴する言葉として解釈できるだろう。どんな世界であっても、視点を変えることで見えてくるものが必ずある。その重要性を再認識させてくれた一夜でもあった。

KIRITOは翌7月27日に同会場での第二夜を終えた後、8月24日CLUB CITTA’にて、HAZUKIとの初のツーマンライブ「THE CHEMICAL DESTRUCT – RESISTANCE CIRCUIT – KIRITO vs HAZUKI」、9月15日にZepp DiverCity(TOKYO)で行われるlynch.presents「BLACK BEAUTY BEASTS」への出演が控えている。また、10月4〜5日にはAngeloの再始動公演「START OF THE WORLD LINE」が国立代々木競技場第二体育館で開催される。この先もKIRITOが創り出す未来に期待したい。

(文・金多賀歩美)

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