JASRAC、シンポジウム「AI生成楽曲と著作権」のアーカイブを公開

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左から小林由幸氏、水野祐氏

JASRACは、3月14日にオンラインで開催したJASRACシンポジウム「AI生成楽曲と著作権」について、当日の模様をアーカイブとしてYouTube「JASRAC公式チャンネル」で公開した。

JASRACシンポジウムは、著作権制度への興味・関心や議論を喚起するために1999年から実施しているもので、JASRAC単独の主催としては、初めてオンラインで開催した。今回、社会的にもっとも注目されている「AI」を取り上げ、AIとクリエイティブの関係、AI生成楽曲と著作権について、音楽クリエイター、AI開発者、法律家、JASRAC、それぞれの立場から率直な考えを明らかにし、議論を深めていく企画とした。

第1部の基調講演では、小林由幸氏(ソニーグループ Corporate Distinguished Engineer R&Dセンター主任研究員)が、開発者の立場からAIによる楽曲生成技術の現状と今後の展望について説明したほか、水野祐氏が、法律家の立場からAI生成物の法律上の論点をわかりやすく解説した。

第2部のパネルディスカッションでは、基調講演の講師のほか、モデレーターとして前刀禎明氏(リアルディア 代表取締役社長 AI inside 取締役CMO)、パネリストとして、今井了介氏(音楽プロデューサー、作詞・作曲家)、Mayu Wakisaka氏(シンガーソングライター、作詞・作曲家)、伊澤一雅氏(JASRAC 理事長)が加わり、AI生成楽曲と著作権の関係やクリエイターのAIとの向き合い方など、それぞれの立場から活発な議論を展開した。

当日は、音楽業界をはじめとした企業関係者、音楽クリエイター、法曹関係者、学生などさまざまな職業の人たちが参加。配信終了後に実施したアンケートでは、約9割の視聴者がこのシンポジウムに参加した理由を「『AI』というテーマに関心があったから」と回答するなど、AIへの関心の高さがうかがえた。

また、パネルディスカッションの中でも取り上げられた、「AI生成楽曲の権利を誰が持つべきか」という質問については、視聴者の回答が大きく割れ、さまざまな意見が示されるなど、今後も社会全体で継続的に議論していく必要性が浮き彫りとなった。

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