音叉点──音楽と●●の交差点  第二回 ゲスト:新代田FEVERブッキング・浦本正純

インタビュー 音叉点

音叉点
河野太輔氏(写真左)浦本正純氏(写真右)

「音叉点(おんさてん)」とは「1.音楽と●●が交差するところ 2.チューニングされるきっかけ」を意味する言葉である。ライブハウスでは日々沢山の音楽が鳴り、音と音が混ざり合い音色となるように、人と人が出会うことで新しい物語が始まっている。

この対談ではライブハウスでブッキングを主とし物語を紡ぐLa.mamaの河野太輔が、音楽に関わるゲストと毎回異なるテーマについて話しながら相手との「音叉点=チューニングされるきっかけ」を見つけていく。

第二回のテーマは「猫」、ゲストに新代田FEVERの浦本正純を招いた。今回は河野氏きっての指名で、これまでメールでしかやりとりがなかった浦本氏と直接話してみたいということだった。

FEVERといえばオーナーの西村氏が取材を受けることが多く、ブッキングの浦本氏が取材を受けるのは初だという。2人の共通点である「猫」を会話の緒に、コロナ禍で一足早く動画配信に踏み出した張本人で、立ち上げ当初からFEVERを支える素顔に迫る。

取材日:2021年3月29日 撮影協力:保護猫カフェ駒猫 編集:柴田真希 撮影:加藤春日

プロフィール

河野 太輔(かわの・だいすけ)


1985年1月生まれ。宮崎県出身。自身のバンドでドラマーとして活動後、2005年にLa.mama に入社。入社後はイベントの企画制作、新人アーティストの発掘や育成、レーベル運営など活動は多岐にわたる。


浦本正純(うらもと・まさずみ)


1976年生まれ、LIVE HOUSE FEVER ブッキング。趣味は山登り、海釣り、自転車、ミシンなど。誰にも頼まれてないのに都道府県の最高峰制覇に挑戦中 。愛猫 アドミさん(18歳)。


 

<第一回>【新連載】音叉点──音楽と●●の交差点 La.mama・河野太輔 対談企画 第一回 旅 ゲスト:ライブペインティングパフォーマー・絵描き 近藤康平

香港のホワイト・ノイズ・レコーズというレコード屋、猫が2匹カウンターに寝そべっていました

──今年2月にFEVERに伺ったとき、菊池茂夫さんの写真展「そとねこ」をやっていたんです。その時に浦本さんとお話していたら猫を飼っているということで、今回のテーマが決まりました。

河野:僕も猫を飼っていたんですよ。浦本さん、実際にお会いしてお話しするのは初めてですね。

浦本:そうですね、よろしくお願いします。今、18歳の猫を飼っています。食が細くなっていて骨が見えていますね。

河野: 18歳!長生きですね。小さい時からですか?

浦本:はい、2ヶ月のときにうちに来て、それからずっといますね。

河野:すごい。僕が飼っていた猫は16歳で亡くなりました。元々知り合いが飼っていた猫なんですが、飼い主が病気されて、10歳のときに譲ってもらいました。オスの三毛猫でしたね。

浦本:すごい。数千、数万匹に1匹と言われていますよね。

河野:漁師さんの大漁祈願という言い伝えもありますね。猫を飼ってはいけないマンションに住んでいたんですけど、飼っていました。

浦本:僕も前、そうでした(笑)。

河野:腎臓が悪くなってから頻繁に病院に行っていたので、近隣の人に見つからないように連れ出すのが大変でした(笑)。今は引っ越したんですか。

浦本:はい。晩年になって、こたつを経験させてあげたいなと思って烏山の奥まった所に引っ越しました。今の家の近くには、大家さんの広大なつつじ園があるんですよ。そこに野良猫も沢山いて、夜煙草を吸っていると寄ってきますね。以前、すごく馴れ馴れしい猫が1匹いて、普通に家に入ってきました。

河野:はは(笑)。

浦本:そうしたらうちの猫がびっくりして、これまでの18年間で聞いたこともないような声で怒って。よその猫を勝手に入れたのが相当辛かったんでしょうね。

音叉点

──それはだめですね。

浦本:浮気されたみたいな感じでしたね。今でも隙あらば入ってこようとしますが、それ以降入れてないですね。

河野: La.mamaの横の空き地にもここ2年くらい、野良猫が住み着いています。野良猫、渋谷も沢山いるんですよ。

── 一時期問題になっていましたね。地域ネコ活動をされている方が渋谷にもいるようです。

河野:そこの猫も保護団体と近所の方が夜に餌をあげて、見守ってくれています。一時期その猫を捕獲して保護できないかな、と思っていましたが、警戒心がすごく強くて人を寄せ付けませんでした。うちのスタッフ、みんな猫を飼いたがっています。

──看板猫ですね。

浦本:香港のホワイト・ノイズ・レコーズというレコード屋、猫が2匹カウンターに寝そべっていて、すごく可愛かったですよ。日本人のバンドのCDとかTシャツも沢山置いているお店です。

河野:へぇ!FEVERと関わりがあるんですか。

浦本:そこのオーナーのGaryさんがFEVERに2回ほど来たことがあるんですよ。英語しか話せない人だったからなんとなく会話した記憶しかないけど(笑)。

河野:FEVERにはリーバくんがいましたね。

浦本:看板犬でしたね。 オーナーの西村が連れてきていて大体受付のところで寝ていました。4〜5年前に亡くなりましたね。

河野:リーバくん、FEVERのTシャツのプリントにもなっていましたよね。

Two Side Print Tシャツ

Two Side Print Tシャツ

──私も買いました。FEVER、物販にも力を入れている印象で、「made in 新代田」(編注:FEVERが始めた、アーティストのTシャツを受注、作製、発送まで行うプロジェクト)は衝撃でした。

河野:FEVERの印刷機、話題になっていましたね。

浦本:かなり大きくて、値段はハイエースが一台買えるくらいのブラザー製のものを導入しました。布であれば刷れます。

河野:そうなんですね。去年5月にカネコアヤノとTHE NOVEMBERSのイベントを組んでいて、コロナ禍で開催できませんでしたが猫のフォトTを作ったんです。その後うちでも物販を色々と作っていたので、気になっていました。

 

NUMBER GIRLがZeppでライブをやった日の少し前にせんいちろうが配信をやって、「お台場の向井さんどうぞ」で終ろう、と(笑)

河野:せんいちろうくん(編注:突然少年Vo.せんいちろう)、今もFEVERで働いていますか?

浦本:いたりいなかったりですが、籍はありますね。働いています。

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河野:La.mamaにも出てもらったことがあります。飼っていた猫が亡くなった日で、僕がマネジメントしているバンドMINAMISのレコ発の日だったのですごく記憶に残っています。その日は対バンが2と突然少年で、猫の体調がいよいよ、ということで夕方少し抜け、家で最期を看取ってからライブハウスに戻りました。

──そうだったんですね。

浦本:自粛期間、突然少年がFEVERに出たときにせんいちろうが「24時間配信やりましょうか」と言い出したのがきっかけで、今年1月の空いた日に「せんいちろうBig Dick Drive 24時間生配信」という企画をやりました。2週間くらい前に決まって、それから出演者や内容を考えたんですが、なんとか24時間もちましたね。

河野:ゲスト、どなたが出られたんですか?

浦本:HUSKING BEEの磯部さんと、おとぎ話の有馬くん、Half-Lifeの洋志くんとかに要所要所で出てもらいました。ライブをやってもらったり、トークしたり。せんいちろうが麻雀をやったことがないと言うので「初めての麻雀」をありったけのカメラを使って配信したら、そこが一番盛り上がりました(笑)。長時間の配信、やったことありますか。

河野:朝8時からMINAMISが配信ライブをする日の前日、ドラムの篠原が会場に泊まって、その様子から次の日の朝までずっと映す配信をやりましたね。

──朝8時からのライブ、すごいですね。

河野:時短で夜ライブできないんだったら朝やってしまおうと思って。朝からMINAMISの音楽を聴いたら元気が出るんじゃないかって。

──配信については、河野さんの以前の取材時(編注:渋谷La.mama 新プロジェクト「CONNECT-20▶︎21」始動、河野太輔氏 インタビュー【前編】、コロナ禍で動画配信への動きが一番早かったのがFEVERだったというお話がありました。

河野:昨年の3月1日にやっていましたよね。

浦本:やりましたね。NUMBER GIRLがZeppでライブをやった日の少し前にせんいちろうが配信をやって、「お台場の向井さんどうぞ」で終ろう、と(笑)。

河野:なるほど(笑)。

浦本:2月末から3月頭の公演が出来ないかもしれないという話が出始めた頃で、店にあったカメラと機材を使って3カメで始めました。

河野:僕の知る限りでは、FEVERの動きが一番早かったです。うちはそれを見て3月中に色々なことを始めたんですよ。恐れずに言うと、FEVERの映像を見て、「絶対これより良くしたい」と社内で話していました。

浦本:幸か不幸か動きが早すぎたので、補助金も初期はもらえなかったですね。最近ようやく補助金を受けて、機材を新しく買えました。それまでは安い機材で無茶をしていましたね。

河野:カメラやスイッチャーは自社ですか。

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浦本:そうですね、最初は僕がスイッチングをやっていました。FEVERに来る前は映像を撮っていたので、入りやすかったですね。今はもう若いスタッフにスイッチングもカメラも任せています。

河野:うちも今第二期に入っていて、最初に買った機材を一掃しました。

──当時はとりあえず今できることを、というところで動き始めた配信ですが、これからも続けていくことになりそうですね。

河野:そうですね。ただ、僕は有観客でやりたい欲が強まっています。

浦本:以前のような人数はもう入れられないですよね。去年一年間、ずっと55人を限度にやっていたんですよ。そうしたら、そのくらいがちょうど良いと言ってくれる人もいて。

河野:こうなる前から、満員はちょっと…、という空気感がありましたよね。

浦本:ありましたね。

河野:僕はそれをすごく感じていて、3〜4年くらい前、本来250人キャパのところを自主企画では200人程度に抑えていました。音楽ジャンルにより多少変わりますが、キャパに対しての意識が変わってきている流れがありましたね。

──ある意味時代に合った方向に自然と向かったとも言えると。

河野:そうですね。

 

2ドリンク1,000円で入って、生ビールとカレーが食べられます

──FEVERはライブスペース以外の場所を有効活用している印象です。

河野:入り口入って正面の場所、多目的に使えて羨ましいです。

浦本:元々スーパーがあった場所を有効活用しています。西村が、海外では発展している街の隣の駅を狙ってやるのがいい、という話を聞き、下北の隣を狙ったそうです。

河野:そうなんですね。POOTLEのチキン、先日デリバリーして食べました。すごく美味しかったです。

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浦本:ありがとうございます!はじめ「チキン」と聞いたときは想像できませんでしたが、意外とみんな美味しいと言ってくれる。

河野:オリジナリティもありますし、一度美味しいと分かると、何かある度に「買って行こうかな」と思います。

浦本:パーティーなど、大勢で食べるときにも向いていますね。

河野:そうですね。前のカフェ、PoPoから切り替えたのはどうしてですか。

浦本:一昨年の3月にPoPoの店長が、「一年後に退社します」と言って昨年3月にPoPoが終わりました。それで最初はフリースペースにしようとしていたんですけど、コロナの時期がちょうど重なって、ライブハウスにお客さんを呼べないから売り上げを立てた方がいい、という話になり、チキン屋にたどり着きました。

──FEVERのドリンクチケットで、チキンに交換できるのはいいですね。

河野:La.mamaのカレーと一緒じゃないですか!

浦本:カレーと交換できるんですか、すごいですね。

河野:日本のライブハウスって大体入場するとき、1ドリンク制じゃないですか。La.mamaは1ドリンク700円と高めですが、2ドリンクは1,000円なんです。1,000円で入って、生ビールとカレーが食べられるというお得。

浦本:カレーはレトルトではなく、毎回作っているんですか。

河野:作っています。ご飯も炊いていますよ。

浦本:すごいですね。カレーって煮込んだりするから、大変そうだ。その上どのくらい注文が入るか分からないじゃないですか。

LAmamaメニュー

La.mama ランチメニュー

河野:そうなんです。実は2月からランチ営業も始めましたが、飲食は難しいですね。

浦本:そうですね。一回は来てくれるんですけど、もう一度来てもらうのが難しいです。

──La.mamaのランチは名物のソフトクリームも食べられるそうです。

浦本:そうなんですか!俺、震災前にFEVERチームで車で仙台まで行ったとき、道中のパーキングエリアでソフトクリームを7つくらい食いました。ははは(笑)。すごい美味しかった記憶があります。

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河野:7個目も美味しかったですか(笑)。

浦本:美味しかった記憶しかないですね。

 

音楽よりもバス釣りの話ばかりしています

浦本:飼っていた猫、人の食べ物も食べていましたか。

河野:いえ、食べてないです。

浦本:ですよね。うちの猫にマグロの刺身をあげたら、無視されました。去勢の前で、人間でいう赤飯のイメージだったんですけどね。普段猫餌しか食べてないからかな。港の猫は鱗のついた魚を食うのが、アグレッシブで素晴らしいな、と思います。実家の猫も魚を食べていましたね。

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河野:ご実家の時もずっと猫を飼っていらしたんですか。

浦本:そうですね。親はあまり好きじゃなかったんですけど、兄弟がみんな猫好きでした。20年生きた子もいましたね。

河野:長生きですね!ご出身、熊本とうかがいました。

浦本:はい、熊本の天草です。

河野:天草だと、WANIMAと同じですね。僕、宮崎の実家が船の卸や修理をやっていて、よく天草に船を取りに行っています。

浦本:そうなんですね。海沿いですか。

河野:海沿いですね。釣りが趣味です。

浦本:ずっと聞きたかったんですけど、もしかしてthe knowlusの川野くんと兄弟ですか。

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河野:違います(笑)。

浦本:違うんですね。釣りも一緒に行っていると聞いていて、La.mamaにもよく出ているから兄弟なのかと気になっていました。

河野:釣りはよく一緒に行きますが、彼は大分出身ですね。

浦本:そうだそうだ。バス釣りですよね、今も行っているんですか。

河野:今も行っています。房総のダムによく行きますね。

浦本:僕はシーバスです。

河野:都会にいると、シーバス行きやすいですよね。知り合いが自転車で釣りに行っていて、僕も自転車を買ってシーバスをやりたいなと思っていました。釣りは地元にいらした時からですか。

浦本:そうですね、小学生のときが一番やっていたかもしれないです。去年は1回くらいしか行けなかったけれど、今も好きですね。

──ライブハウス、釣り好きの方が多いですね。

河野: HINTOが出演するとき、コウセイさんと音楽よりもバス釣りの話ばかりしています。

浦本:SuiseiNoboAzの石原くんも横須賀の方に釣りに行っている、と言っていました。うちのスタッフも、3人くらい釣り部がいますよ。仕事が終わった後、釣りに行くだけなんですけど、年一で合宿をしています。BBQをして、全然釣れないで帰ってくるんですけどね。海釣りはしないんですか。

河野:やりたいと思っています。知り合いは、三浦半島にカマスを釣りに行っています。

浦本:カマス!若洲公園の人口磯にシーバスを釣りに行くんですけど、釣れるのはカマスですね。カマス、すごく元気だから焦ります。

河野:若洲公園、猫も沢山いると聞きますね。

浦本:猫だらけですね。「釣ったらくれよ」という感じで待っています。朝方は嘘みたいな量のボイルで、それを求めて大きい魚が来ると、小魚が暴れ出して泡立つみたいになるんです。網で掬うと小魚がまとめて漁れるので、それを撒くと猫が沢山やってきますね。

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河野:釣りの話になっちゃった(笑)。

浦本:魚と猫は切ってもきれない関係です!

 

<第一回>ライブペインティングパフォーマー・絵描き 近藤康平

<第三回> Analogfish・下岡晃

<第四回> musica hall cafe 田所 裕一郎

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