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OpenAIのAI生成動画ソーシャルアプリ「Sora」、故人は肖像権保護の対象外 マイケル・ジャクソンやカート・コバーンら

ビジネス 海外

米OpenAIの動画生成AI「Sora 2」を搭載したソーシャルアプリ「Sora」は、同意していない有名人に対する肖像権の保護機能を備えるものの、「歴史上の人物」や故人となった有名人には適用されないことが分かった。同社広報担当者の話を元に、米コンピューター雑誌「PCMag」が10月2日伝えた。

Sora2で生成された動画作品に登場した故人にはマイケル・ジャクソン、カート・コバーンらがいる。OpenAIの「公人の描写をブロックする(もちろんカメオ機能のユーザーを除く)」という公約に違反していないか尋ねると「コメントの追加は差し控えるが、歴史上の人物の生成は許可している」と答えたという。

OpenAIは、動画と音声を登録することで自身をAI生成動画に登場させられるカメオ機能について、ユーザーが「自身の肖像をエンドツーエンドで管理」でき、「音声と画像の肖像が本人の同意のもとで使用されることを保証する」よう設計されていると説明しているが、この機能に同意できない故人のことは問題視していないようだ。

同アプリはさまざまな著作権上の懸念が指摘されており、サム・アルトマンCEOは現行のオプトアウト方式(著作権者が拒否しない限りデータを使用する)から、オプトイン方式(著作権者の同意を得てデータを使用する)に近い仕組みに変更する方針とともに、「さらなる変更も予定している」との声明を出している。

(文:坂本 泉)

榎本編集長

「AIで作った短尺動画に特化したTikTok型アプリ、Soraにマイケル・ジャクソンやカート・コバーンなど故人を使ったパロディ動画が人気を得ている。その出来は見てもらうしか無く、いずれこれが合法化されていく世界が待っているのだろうが、現時点では当然ながら著作権上に問題がある。これに対しSoraやChatGPTの開発元OpenAI社は「歴史上の人物の生成は許可している」という回答で事実上、歴史的な故人の肖像権を認めない方針を明らかにした。日本の法律では故人の名誉を傷つけない限り肖像権は認められていないのが基本のようだが、アメリカでは故人の肖像権は権利保護の対象になっており、コンテンツ企業が著名人の肖像権を持っていることが多いので、この回答は問題がある。アニメキャラ、著名人を使ったパロディ動画に溢れ、その熱気はネットの席巻が始まった2000年前後を思い起こさせるものがあるが、道のりはそれなりに掛かるのか、すぐ整備されるのかはまだ見えていない。Napsterが発明された1999年から「聴き放題」の音楽文化は瞬く間に広まったが、SpotifyがiPhoneアプリで登場する2008年まで9年を要している。ただ、音楽サブスク自体は米メジャーレーベルの合意のもと2001年末に誕生している。音楽サブスクの誕生では法の整備よりも権利者の合意の方がが早かった」

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。