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ソニー、米国でSpotifyと直接ライセンス契約 3大メジャー全てが「バンドル」支払い構造から移行

ビジネス 海外

Spotifyは9月18日、ソニー・ミュージックグループ(SMG)とのグローバルパートナーシップの延長と拡大を発表。この一環として、ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)とソニー・ミュージックパブリッシング(SMP)はそれぞれ、Spotifyと複数年契約を結んだ。

SMPとの契約には米国における新たな直接ライセンス契約が含まれ、従来の米国著作権使用料委員会(CRB)が定める法定利用料に基づいた支払いモデルから移行するものとなっている。

CRBは2022年、バンドルされたマルチメディア・サービスに対し、単体の音楽配信サービスよりも低い料率で録音権使用料を支払うことを認め、Spotifyが昨年3月に有料プランをバンドル扱いに再分類したことで、音楽出版社からは批判が上がっている。

Spotifyは今年に入り、ユニバーサル・ミュージック・パブリッシング・グループ(UMPG)およびワーナー・チャペル・ミュージック(WCM)とそれぞれ直接ライセンス契約を結んでおり、3大メジャーレーベルの全てがCRBモデルから移行したこととなる。8月には、世界最大の独立系音楽出版社であるコバルト・ミュージック・グループとも米国を対象に直接ライセンス契約を締結した。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「米国で音楽著作権団体離れが起きていることは度々伝えてきたが今月、ソニーミュージックの音楽出版がSpotifyと直接契約したことで、3大メジャーの音楽出版全てがSpotifyと直接契約することになった。原因はストリーミングで音楽配信から直接、データが取れるようになったことがひとつ。もうひとつはアメリカ特有の仕組みがあって、米国著作権使用料委員会(CRB)を通せば音楽配信はレーベルと交渉せずともCRBの定めた両立で配信することができたのだが、Spotifyが米国で人気のオーディオブックとのバンドル料金プランを始めたところ、CRBを通すと音楽側への支払いが減る状態になったもののCRBがレジレントにルールを変更できなかったことで直接契約が進んだ。アメリカは著作隣接権の概念がないとはいいつつも原盤権はレーベルが所有しており、そこはCRBの法定料率をSpotifyも使っていないので、録音物はレーベルの許諾を取らなければ音楽配信は事実上、不可能。この立場を活かしてSpotifyと交渉を進めたと思われる」

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。