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【訃報】洋楽ディレクター・洋楽天国の高橋裕二氏が死去 喜久野俊和氏から追悼文

ビジネス お悔み

高橋裕二氏

ソニー・ミュージック・エンタテインメント(旧CBSソニー)の洋楽ディレクターとして数々の実績を残し、Musicmanでも「洋楽天国」で長らくお世話になっていた高橋裕二氏が9月12日に死去した。

高橋氏は1947年新潟県生まれ。秋田大学鉱山学部在学中にラジオDJとして活動し、1970年にCBSソニー(現ソニー・ミュージック・エンタテインメント)に入社。洋楽の制作・宣伝担当として、チェイス、アルバート・ハモンド、スリー・ディグリーズ、バーティー・ヒギンズ、ジェフ・ベック、ビリー・ジョエルなど、数多くの日本独自の洋楽ヒットを生み出し、洋楽シーンを牽引した。

その後もポリドール(現ユニバーサルミュージック)、ドリーミュージック、ポニーキャニオンで要職を務め、2008年のポニーキャニオン取締役退任後は、ご自身のブログ「洋楽天国」を通じて世界各国の音楽業界事情を紹介。豊富な経験を基にした切れ味鋭い記事と毎日更新による情報鮮度の高さで、音楽業界関係者から高い評価を得ていた。

今回、高橋氏の洋楽時代の後輩にあたる喜久野俊和氏から哀悼の文が寄せられた。Musicmanのインタビューと共に、謹んでご冥福をお祈りいたします。

提供:喜久野氏

喜久野俊和氏からの追悼文

愛すべき先輩、ユージさん。本当にお世話になりました。

我々CBSソニーの仲間のみならず、業界のみんなから”ユージ””ユージさん”の呼び名で親しまれていた高橋裕二さんが9月12日旅立たれました。78歳。早過ぎます。本当に悲しいです。私の洋楽人生を楽しいものにしてくれた師匠の一人でした。今年の3月に企画したCBSソニー洋楽70年代の同窓会でも、直前にユージさんはキャンセル。この時会えなかったのが本当に残念です。

私は1973年にCBSソニー入社。配属先が音楽出版部門。私の洋楽異動前から沢山の事を学ばせて頂きました。ここではフィラデルフィア・サウンドの著作権を管理しており、アーティスト担当がユージさん。新人出版マンとヒット・ディレクターの関係です。1974年スリー・ディグリーズの“天使のささやき”のメガ・ヒットの中、ユージさんが発案した企画、日本録音プロジェクト2タイトルが1975年に発売されました。日本語盤“にがい涙”(筒美京平曲・安井かずみ詩)。そして英語盤の”ミッドナイト・トレイン“(細野晴臣曲・松本隆詩)。です。出版社として作家契約書に松本隆さんのサインをもらうために西麻布に伺った事は、よく覚えています。貴重な機会ありがとうございました。

特筆すべきはメイド・イン・ジャパンの英語盤です。演奏はティン・パン・アレイ。作家の選択も時代の先駆けですし真剣にアメリカのマーケットを狙っていたのです。半世紀前、ユージさんの目はアメリカを向いていました。この大きな夢、尊敬しかありません。

1978年私の洋楽異動後はユージさんは上司。洋楽ビジネスはアメリカのヒット曲を生業にしています。ヒット・チャートはラジオ局の動きです。ユージさん主宰のアメリカのラジオ局の勉強会、これは制作マンとしての見識を広げる機会になりました。ヒットを先駆けて予測することで編成制作者としての心構えが違います。これは大変有効なものでした。ユージさん、ありがとうございました。日本で一番、アメリカのラジオ業界に詳しい方でした。

今でも仲間の中で話題になるのは70年代洋楽の邦題です。ユージさん出自はラジオ・マン。リスナーが聴いて一回で覚えやすいものでなければいけない、とこだわりありました。ディレクターとして沢山のシングル・カット曲に邦題付けてきました。私、その中でも一番気に入っていたのが実はアルバート・ハモンドのタイトル、歌の内容全く関係なし。曲調と発売時期の秋の季節感を生かした“落ち葉のコンチェルト”でした。これをユージさんに言ったことがあります。すると、“俺もそうだよ。一番気に入っている”と。ユージさん、観葉植物好きだったしロマンティストだったと思います。

ユージさん、本当にお世話になりました。ご冥福をお祈り申しあげます。

喜久野俊和氏プロフィール

新卒で1973年CBSソニーレコード入社。
音楽出版部門配属から1978年洋楽部へ異動。
宣伝2年。制作9年。担当アーティストはビリー・ジョエル、ジャーニー、ブルース・スプリングスティーン、ボズ・スキャッグスなどCBSレーベルの大物系。
1990年洋楽部門長、以降名古屋営業所所長や国内新人の開発育成部門を経て1999年SME退職。WMJで5年。USENグループ・ユーズミュージックで11年。
2015年退職。以降フリーランスとして活動中。75歳。

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