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コバルト、米国でSpotifyと直接ライセンス契約 「バンドル」支払い構造から転換

ビジネス 海外

Spotifyは8月13日、世界最大の独立系音楽出版社であるコバルト・ミュージック・グループと米国における複数年の直接ライセンス契約を締結したと発表した。

この直接契約は「米国における作家に対し、より大きな柔軟性、効率性、価値、保護を提供することを目的」としたもので、「作家が自身の作品がストリーミングプラットフォームで生み出す価値により直接的に参加できるライセンス構造への広範な移行」の一環だと説明。これらの契約が米国著作権使用料委員会(CRB)が監督する既存の枠組みの外にあることを指している。

CRBは2022年、バンドルされたマルチメディア・サービスに対し、単体の音楽配信サービスよりも低い料率で録音権使用料を支払うことを認めた。Spotifyが昨年3月に有料プランをバンドル扱いに再分類したことで、音楽出版社からは批判が上がっている。

今年に入り、ユニバーサル・ミュージック・パブリッシング・グループ(UMPG)とワーナー・チャペル・ミュージック(WCM)は相次いで、Spotifyと直接ライセンス契約を結んだ。Music Business Worldwide(MBW)は、ソニー・ミュージックパブリッシング(SMP)もSpotifyと新たな契約について協議中だと伝えている。

(文:坂本 泉) 

榎本編集長「著作権管理団体を通さずSpotifyと直接契約する音楽出版が増えている。今回は世界で実質4番手相当のコバルトがアメリカでSpotifyと直接契約した。背景として、Spotifyがアメリカで始めたオーディオブックとのバンドルプランが米国著作権使用料委員会(CRB)の料率でやると音楽出版への支払いが減ることが昨年から業界で問題になっていた。記事の通り3大メジャーの音楽出版も直接契約になりつつある。音楽出版が著作権管理団体を通さない動きは2013年頃から始まっており、その年、ソニーミュージックパブリッシングがアメリカでデジタル関連(デジタル・パフォーミング・ライツ売上)は配信プラットフォームと直接契約することを始めた。なおソニーがASCAP/BMI(アメリカのJASRAC/Nextoneに相当)と完全に関係が切れたわけではなく、デジタルは直接で、放送やライブなどは著作権管理団体経由という使い分けになっているようだ。国(アメリカ)の作ったCRBは料率が決まっていて個別交渉不要と配信業者側には便利だが、このように料率に不満が出ると民間の直接交渉が進む傾向にある」

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。