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3大AIのアンソロピック、書籍作家グループと和解 海賊版利用巡り

ビジネス 海外

AIチャットボット「Claude(クロード)」を手がける米Anthropic(アンソロピック)は、著作権侵害を主張する米書籍作家3人による集団訴訟で和解した。ロイター通信は、AI訓練での著作権侵害を巡る大規模訴訟で初の和解だと伝えている。

アンソロピックは8月26日、米連邦地方裁判所に、和解案を最終決定するまで訴訟手続きを停止するよう求めた。提出された文書では、和解条件は明らかにされていない。ウィリアム・アルサップ判事は、9月5日までに詳細を提出するよう命じている。

原告側は昨年、アンソロピックが無断かつ無償で違法に海賊版書籍をAIの訓練に使ったとして提訴。裁判所は今年6月、アンソロピックがAIを訓練するために書籍を無許可で使用することはフェアユース(公正な利用)だが、海賊版書籍の利用はフェアユースに当たらないとして、同社による著作権侵害を認めた。

損害賠償額を決定する審理を12月に控える中、賠償額が数十億ドル規模に達するとの見方もあったことから、アンソロピックが和解を急いだ可能性も指摘されている。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「三大AIのひとつClaudeを手掛けるAnthropic社が作家三人と和解。以前の判決では、裁判所は海賊版書籍を使った違法な学習を認定しつつも、被害額の根拠が具体的ではないことから賠償請求を退けていたが、ここへ来てAI側は和解に動いたのは12月の裁判で賠償額が数十億ドル規模になると恐れたという見方もあり、作家側が有効な根拠を出してきて、それが認められたら三人どころの話ではなくなるということかもしれない。音楽生成AIのSunoも著作権のある歌詞をファイル共有で拡散されたと訴えられており、Anthropicと作家3人との和解内容はそこで大きく影響する場合がある。以前も書いたが、かつてファイル共有を発明したナップスター社は天文学的な金額の賠償命令が下って破産している」

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。