お騒がせAIバンド「The Velvet Sundown」、Spotifyのリスナー急減

突如Spotifyで100万以上の月間リスナーを獲得し、AIによって生成されたバンドか否かで話題を呼んだ、AIバンド「The Velvet Sundown」。わずか1カ月足らずで、大きくSpotifyのリスナーを減らしている。
8月21日時点の同バンドのSpotify月間リスナー数は49万2,000人ほどと、7月下旬のピーク時(約150万人)から大きく縮小。人間として実在しないバンドとしては、依然として相当なリスナー数を確保しているものの、この急速な減少は、初期の急増と同様に重要な要素だ。
ユニバーサル ミュージック グループ(UMG)のエグゼクティブバイスプレジデント兼CDO(最高デジタル責任者)を務めるマイケル・ナッシュ氏を含む音楽業界人やメディアが、報道による露出や単なる好奇心がリスナー獲得の理由との見方をしていたが、これが証明された格好だ。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「バンド「The Velvet Sundown」がAIなのか人間なのか、7月初頭に話題となり月間リスナー数150万人に到達したが、その後バンドがSpotifyのプロフィールを更新してそこでAIであることを暗に認めると盛り下がり、更に7月下旬、新アルバムをアップするもSpotifyに削除されAI製だということが傍証されたあたりでブームは収束。記事にある通り国連AIサミットで基調講演したユニバーサルミュージックCDOが、現在のAI音楽はAI疑惑で盛り上がってようやく100万再生超えでヒット曲を出す域には到底入っていない旨をコメントしたが、8月に入ってやはりほとんど聴かれなくなった。個人的には音楽生成AIブームを起こしたGoastwriterのHeart On My Sleevesが質的には一番高く、それから3年経ってここまでということで、今後また別の革新がない限り音楽でAIが人間を超えることはなさそうだ」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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