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Spotifyのダニエル・エクCEO、レーベルがスーパーファン向けサービス導入を遅らせている可能性を示唆

ビジネス 海外

Spotifyのダニエル・エクCEOは4月29日の決算説明会で、レコード会社がSpotifyのスーパーファン向けサービスの立ち上げを遅らせている可能性があると示唆した。音楽業界ニュースサイトのHypebotが報じた。 

スーパーファン向けサービスの内容と導入時期について問われたエクCEOは「このような新しい体験をユーザーに提供するためには、業界のパートナーとの連携とサポートが必要」と回答。マーティン・ロレンツォン共同設立者の言葉を引用して「ビジネスの価値とは、解決された全ての問題の総和である」と述べた。 

エク氏は、スーパーファンはレーベルにとって「大きなチャンス」だと語っている。 

Spotifyのスーパーファン・パートナーの筆頭はメジャーレーベルで、両者はさまざまな要件で合意しなければならないが、追加費用の請求も予想されることから、契約は簡単には成立しないとみられる。 

また、コンサートチケットへの早期アクセス提供に向けてアプローチしたライブネーション・エンターテインメントのマイケル・ラピーノ社長兼CEOは「他のオプションと比較して合理的であれば、受け入れる用意がある」と、関心は低いようだ。 

(文:坂本 泉)  

榎本編集長「音楽サブスクの普及が終わった次としてスーパーファン・プラットフォームが注目されており、Spotifyも次のビジネスモデルに組み込もうとしているが、「レーベルが立ち上げを遅らせている」と同社エクCEOが苦言。これは率直に言ってメジャーレーベルはスーパーファンに関してSpotifyと組む必要がないためと思われる。スーパーファン・プラットフォームはWeverseに代表されるように、アーティスト単位でファンが月額なり年額で入るのでアーティストが既存のファンに声掛けすれば成立し、わざわざ音楽サブスクを通す必要もない。Spotifyはおそらく高価格帯プラン(Music Pro)にスーパーファン向けの機能を入れていきたい印象を受けるが、それだと十把一絡げの扱いとなりアーティストやレーベルにほとんど旨味がない。さらにユニバーサルは最大手Weverseに出資、ソニーはスーパーファンプラットフォーム二社を買収、ワーナーはエド・シーランの協力のもと独自のプラットフォームを開発中で、たとえ音楽配信の帝王Spotifyといえども交渉は難しいだろうと見ていたがやはりそうだったかという印象だ。 

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。