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音楽カンファレンスの潮流に変化 SXSWは軟化、MICに熱視線?

ビジネス 海外

音楽業界のカンファレンスのルートに変化が起きているーー。米オースティンで開催されているSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)は、業界の人員削減の影響からか参加者が激減。Digital Music News(DMN)は業界人が次に向かう先が、全米音楽出版社協会(NMPA)のデビッド・イスラエライト会長兼CEOが立ち上げた「音楽投資家会議(MIC)」になる可能性を指摘している。 

DMNは今年のSXSW現地取材を踏まえ、レーベルの大量解雇、利益を重視する企業の増加などから、参加者数の減少が一時的なものではないとみている。また、ショーケースの減少や、テクノロジーやエコなど音楽以外の要素が増えたことで「音楽が中心で、専門家がキュレーションするSXSWの時代は終わった」という声もあるという。 

業界がより真剣なものを求めているのであれば、米国の音楽業界を支援する非営利団体Music Business Association(Music Biz)が主催するイベント「Music Biz」も選択肢だが、Music Bizの本拠で「ミュージックシティー」のナッシュビルからアトランタに開催地を移したことで、政治的な働きかけなどの力が弱まるとの懸念もあるという。 

今年で3年目を迎えるMICは、6月にニューヨークで開幕する。参加人数を限定した、招待客のみの真剣な商談を行うという全く異なる戦略を持っており、イベント前に驚くほどの盛り上がりを見せているという。今年もかなり影響力のある面々が参加すると予想されている。 

(文:坂本 泉)  

榎本編集長「毎年一度、世界中から音楽業界人が集ってきたSXSWだが、参加者が激減らしい。次の音楽業界カンファレンスとしてニューヨークで開かれるMIC(Music Investors Conference)が注目を集めつつあるという。SXSWが音楽ショーケース、音楽カンファレンスだけでなく映画、ゲーム、テック系のショーケースへと規模を拡大していったのに対し、MICは招待客を絞って商談に集中する新しい音楽カンファレンスを目指している。私もオースティンのSXSWに10年前、行ったが既に音楽と関係の薄いビジネス色が強くなり若者の参加が減っていたのが気になっていた。それから十年経ち、レーベルを初めとする音楽業界のリストラが進み、成果を最優先する企業文化が業界で進んだことで、逆に音楽ビジネスで実効性のあるカンファレンスが改めて求められるようになったのではないか。以下は悪口として書くのではないと断っておくが、音楽を目当てに若年層が集まるとそのブランドを求めてビジネスマンが集まりすぎて若年層が逃げ出し、ブランドが低下して新興勢力が来る隙が出来るというのは音楽産業の長い歴史でも度々起こっている」 

 

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。