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米上院議員、AI開発者に透明性求める「TRAIN法案」を再提出 音楽業界も支持

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ピーター・ウェルチ米上院議員(民主党)は7月25日、AI開発者に透明性を求める「TRAIN法案(AIネットワークの透明性と責任に関する法律)」を再提出したと発表した。

この超党派の法案は、AI開発者にAIモデルの訓練に使用した素材の開示を義務付けるもので、権利者が自分の作品が同意なしに生成AIツールの訓練に使用されたと疑われる場合にのみ適用される。

昨年11月に初めて提出され、当初からレコーディングアカデミーや全米レコード協会(RIAA)をはじめとする音楽業界団体や、ユニバーサル ミュージック グループ(UMG)、ワーナー・ミュージック・グループ(WMG)などが支持を表明しており、支持者はさらに拡大している。

(※昨年11月時点ではソニー・ミュージックグループも支持者とされていたが、今年7月の発表では全く同社について触れられていない)

再提出案は、当初の法案と実質的には同じだが、開発者やトレーニング素材の定義、法案の対象者などがより包括的なものとなっている。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「アメリカの音楽業界が総出でバックアップするAI開発者に透明性を求める「TRAIN法案」が米議会に再提出された。民主党からの提出だがコンテンツ関連の法案はアメリカでは超党派で進むケースが多い。これが通ればAIの学習材料になったコンテンツを明示する義務が生じる。一方で最近、トランプ大統領がAIサミットで「マイクロライセンスは不可能」と宣言するなど、中国との覇権競争からAIが著作物を学習材料にするのは「引用と同じフェアユース」扱いにしてクリエイターなど権利者の許可を不要にする方向へ行こうとしている。両方の流れを合わせると「学習材料を明示すれば引用と同じ扱いで著作権者の許可は不要」ということになり、アーティストやレーベル、著作権管理団体はAIに権利料を請求することは不可能になる。ただ、これは学習材料としての話で、生成物の利用に著作権のあるコンテンツが混ざっている場合はその限りではない。とはいえそればほぼ不可能なのではないかという意見もあり、現時点の技術では私もたぶんそうだと思う」

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。

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