全米レコード協会、音楽生成AI「Udio」の訴訟を拡大 「Suno」と同じくYouTubeからの音源の違法取得を主張

全米レコード協会(RIAA)は9月28日、音楽生成AI「Udio」を相手に起こした著作権侵害の訴訟を拡大。米裁判所に提出された修正訴状の中で、UdioによるYouTubeからの著作権保護された音源の「違法なスクレイピング(ウェブコンテンツから特定のデータを自動抽出)」、YouTubeの技術的保護手段を回避したことによる著作権法の違反を新たに主張した。
同協会は昨年6月、ライセンス契約なしに著作権で保護された音楽を訓練に使用している疑いがあるとしてUdioおよび同業Sunoを提訴。今年9月19日には対Sunoの訴訟で「ストリーミングリッピング(ストリーミングプラットフォームから取得したコンテンツをダウンロード可能なファイルに変換する行為)」と技術的保護手段の回避を主張する修正訴状を提出した。
RIAAはSunoに対する修正訴訟と同様に、国際音楽出版社連合(ICMP)が示した海賊行為の証拠を強調。音楽業界誌ビルボードは先に、ICMPが「米国発の音楽制作アプリ『Udio』と『Suno』によるYouTubeからの著作権保護された音楽の違法スクレイピングを証明する非公開データセット」を共有したと報じていた。
(文:坂本 泉)
榎本編集長
「音楽生成の品質でSunoと並び称されるUdioもYouTube上にある音楽ビデオを無断DLして学習させていたと全米レコード協会(RIAA)に訴えられた。YouTubeの技術保護を回避してDLする部分だけでも著作権法違反(DMCA)で1件あたり最大2500ドルの賠償が考えられ、これが5万本と仮定しても150億円以上になる。ただmp3がCD売上を激減させたような具体例が認められるかわからないので、「侵害された作品ごとに最大15万ドル」という賠償の方は裁判所が認めない可能性も高い。認められれば150億円どころかナップスター裁判のように天文学的な賠償額になる。なおYouTubeが証拠提出に協力しているかは不明。アメリカの訴訟制度では、関係のある第三者に対して文書提出命令(subpoena)を出すことは可能であり、それにYouTubeが応じる可能性は十分にある。RIAAは国際音楽出版社連盟(ICMP)のやった調査結果を証拠にして訴訟を強化しているという報道は出ている」ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
関連リンク
- 修正訴状
- DMN:Major Labels Submit Amended Infringement Complaint Against Udio — Redaction-Heavy Filing Calls Out ‘The Illegal Scraping of Copyrighted Sound Recordings from YouTube’
- MBW:After ‘stream ripping’ allegations added to Suno lawsuit, labels seek to beef up Udio complaint with claims of ‘illegal scraping’ from YouTube
- 全米レコード協会、音楽生成AI「Suno」の訴訟を拡大 新たに「ストリーミングリッピング」主張
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