音楽業界9団体が「for Creators、for Artists」の理念のもと「AIに関する音楽団体協議会」を設置

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音楽に関わるクリエイターやアーティストとともに活動している下記の9団体が、「for Creators、for Artists」の理念のもと、「AIに関する音楽団体協議会」を設置する。同協議会は、クリエイターやアーティストの権利を保護し、豊かな音楽コンテンツが創作されて社会に広く利用されることで音楽文化の普及発展に寄与することを目的としている。

「AIに関する音楽団体協議会」参加団体(団体名は50音順)

  • コンサートプロモーターズ協会(ACPC)
  • 日本音楽作家団体協議会(FCA)
  • 日本音楽事業者協会(JAME)
  • 日本音楽出版社協会(MPA)
  • 日本音楽制作者連盟(FMPJ)
  • 日本音楽著作権協会(JASRAC)
  • 日本芸能実演家団体協議会
    実演家著作隣接権センター(CPRA)
  • 日本レコード協会(RIAJ)
  • NexTone(ネクストーン)

昨今、生成AIのさまざまな技術やサービスが提供され、急速に普及し始めている。生成AIの開発と利用は、創造のサイクルとの調和の取れたものであれば文化芸術およびコンテンツビジネスの健全な普及発展に寄与することが期待される。歴史上、音楽は新たな技術を取り入れながら発展してきた。音楽制作においてもクリエイターやアーティストにとって生成AIは有効なツールとなる可能性を秘めているが、現状においてはさまざまな懸念がある。

生成AIは、クリエイターやアーティストが心血を注いで生み出した音楽コンテンツを人間とは桁違いの規模、スピードで学習することができる。技術は文字どおり日進月歩なので、大規模な学習が続けられれば、生成物の質も進歩を遂げることは疑う余地がない。その結果、質の高い生成物が人間とは桁違いの量とスピードで低コストに大量生成されるようになれば、クリエイターやアーティストは自らが生み出したコンテンツを学習して性能を高めた生成AIによって活躍の場が狭められることも考えられる。

現行の著作権法のもとでは、第30条の4の規定により、営利目的の生成AIを開発するための学習利用に対して、権利者がその意思を反映させることはできない。また、アーティストの肖像や声を再現して生成されたディープフェイクコンテンツからアーティストを保護するための実効的かつ簡便な救済制度が確立されていないという問題もある。

同協議会では、調和のとれた生成AIの利活用の枠組みの実現に向けて検討や提言を行っていくとのこと。

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