JASRAC、ブロックチェーン技術を活用した存在証明機能とeKYC機能を備える楽曲情報管理システム「KENDRIX」の正式サービスを開始

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KENDRIX

日本音楽著作権協会(JASRAC)は10月31日、ブロックチェーン技術を活用した存在証明機能とeKYC機能を備える楽曲情報管理システム「KENDRIX」の正式サービスを開始した。

KENDRIXとは、「すべての音楽クリエイターが Creation Ecosystem に参画できる世界へ」というコンセプトのもと、音楽クリエイターが安心して楽曲を発表でき、適正な対価還元を受けるための各種手続きのハードルを下げることを目的としたクリエイターDXプラットフォーム。プロアマ問わず、誰でも無料で利用できる。

音源ファイル等をKENDRIXに登録すると、以下の情報がブロックチェーンに登録される(制作途中の音源でも登録できる)。

  • 音源ファイルのハッシュ値
  • タイムスタンプ
  • ユーザー情報、タイトルとバージョンの情報(1つの楽曲情報に対し、複数の音源ファイルを登録して、バージョン管理できる)

これにより、ある音源ファイルを誰がいつの時点で所有していたのか、という事実を客観的に証明することができる。そして、ブロックチェーンに登録された情報を表示する「存在証明ページ」を公開することができる。

動画配信プラットフォームやSNSで楽曲を公開する際に、存在証明ページの公開用URLを添えることで、存在証明を取得している音楽クリエイターであることが第三者に伝わり、不正利用の抑止力となることが期待される。

さらに、eKYC(オンラインでの身元確認機能)を実装することで、本人認証済みのKENDRIXユーザーが存在証明付きの楽曲情報を、KENDRIXと連携する様々なサービスに展開できるようになる。

最初に連携するサービスはJASRACのサービス(オンライン信託契約・作品届提出*)となるが、将来はJASRAC以外のサービスにも楽曲情報を提供していく予定だ。

*オンライン作品届提出機能は2023年2月に追加予定。

また、KENDRIXの正式サービス開始にあわせて、JASRACと音楽著作権の管理委託契約の申し込み時に必要となる利用実績基準を緩和するとともに、契約手続きまでに要する期間を短縮化している。

KENDRIXは、ソニーグループR&Dセンターが開発する権利管理ブロックチェーンシステムを採用している。上記の権利管理ブロックチェーンを活用することで、個人クリエイターや音楽関連企業・団体などのステークホルダーが、プライバシーを保ちながらも透明性をもって収益分配できるしくみ作りの基盤となることを目指している。

現在JASRACは、ソニーグループから技術的な協力を得る形で、この構想実現に向けたコンソーシアムの立ち上げを準備している。準備が整い次第、コンソーシアムへの参加を広く募る考えとのこと。

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