日本音楽作家団体協議会(FCA)、音楽作家への正当な対価を求める意見表明 音楽教室とJASRACとの著作権使用料徴収問題にも言及

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12の音楽作家団体で構成される日本音楽作家団体協議会(FCA)は7月13日、音楽作家が直面する著作権に関する3つの課題(1.私的録音録画補償金制度、2.楽譜の無断コピー・無断配信、3.音楽教室での演奏利用)について、音楽作家の声として意見表明を行った。

音楽作家(作詩家、作曲家)にとって、著作権使用料は大切な収入源だが、全ての分野で音楽作家が正当な対価を得られているとは言えず、創作者の権利が「なおざり」にされている場面も見られるとして、FCAは音楽作家を代表してこの状況の打開に向けて今回の意見表明に至ったとのこと。

意見表明

  • FCAは音楽作家の未来と生活を守ります
  • 著作権は憲法が保障する基本的人権です
  • ビジネスでの音楽利用には音楽作家への正当な対価が必要です

私たちは表明します。機能を停止した私的録音録画補償金制度、蔓延する楽譜の無断コピーや無断配信、音楽教室でのすべての演奏、そのいずれについても、私たち音楽作家には正当な対価が必要です。権利者である音楽作家に対価が還元されなければ、次の作品は生まれません。著作権のある音楽作品の利用には音楽作家への正当な対価が必要です。

背景

1.私的録音録画補償金制度について

私的録音録画補償金制度の見直しについては,「知的財産推進計画2020」において「具体的な対象機器等について2020年内に結論を得て、2020年度内の可能な限り早期に必要な措置を講ずる」とされていました。その後関係府省庁での検討とあわせ、文化審議会著作権分科会内において意見交換が行なわれていますが、2021年7月現在、具体的な結論を得るに至っていません。

2.楽譜の無断コピー・無断配信について

FCAは2004年4月から楽譜コピー問題協議会(CARS)の一員として、楽譜の違法複製を防止し適正利用を促進するための継発活動に取り組んでいます。残念なことに楽譜の無断コピーがなくならないばかりか、楽譜をスキャンしてサーバーにアップロードし、これをタブレット端末などに配信するなどのあらたな違法行為が日常的に繰り返されています。

3.音楽教室での演奏利用について

音楽教室事業者は私たちが創作した音楽作品を講師や生徒に演奏利用させていますが、多くの事業者は私達の権利を認めようとしません。しかし我々音楽作家は、ビジネスでの音楽利用には音楽作家への正当な対価が必要であると考えます。現在裁判が行われている音楽教室とJASRACとの著作権使用料徴収に関する問題で、権利者である音楽作家達が意見表明するのは初となります。

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