イーライセンスとJRCが合弁会社「株式会社NexTone」設立、「JASRACと公平なルールのもと競い合いたい」

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イーライセンスとJRCが合弁会社「株式会社NexTone」設立
左から 取締役 名越禎二氏、取締役会長 三野明洋氏、代表取締役CEO 阿南雅浩氏、代表取締役COO 荒川祐二氏、取締役 竹内成和氏、取締役 高橋信彦氏

 

著作権管理事業者のイーライセンスとジャパン・ライツ・クリアランス(JRC)が、17日、事業統合発表会を開催し、2016年2月1日付で新会社「株式会社NexTone(ネクストーン)」を設立すると発表した。

当面は「イーライセンス事業」、「JRC事業」の2部門体制で運営。それぞれの契約約款を用いながら管理楽曲の著作権管理事業を行い、2017年4月に規定・約款を一本化する。また、アーティストのコンサート等興行的な使用、全国の飲食店などのカラオケ演奏やBGMの使用が含まれる「演奏権」は、徴収ルールの確立に時間がかかるため、管理を日本音楽著作権協会(JASRAC)に委託し、数年以内の全支分権・利用形態の管理を目指すとした。

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また、著作権管理業務を核にしながらも、JASRACにはない付加価値として、デジタルコンテンツの流通・販売、ライブビューイング、印税管理・計算システム代行、国内外の市場調査と分析など、音楽周辺事業・サービスといった営利事業も展開する。さらに、海外で開発されている先端技術も柔軟に取り入れ、ライブスペースで演奏された楽曲をテクノロジーをもって裏付けるという徴収方法も検討している。サブスクリプションなどの新しいサービスの徴収ルールについても迅速かつ適切な使用料の契約締結に努めていく。

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エイベックス・ミュージック・パブリッシング(AMP)が保有する、約10万曲の著作権管理をJASRACから移管する手続きは難航しており、現在までに完了しているのは3,000曲程度、年内は約5,000曲に留まる見込み。権利者に対する具体的な説明が不足していたことと、時間的な制約があったことがその原因となった。権利の移管が3年に1度しか認められないという規定についても見直しを求める働きかけを行っていく。

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今後の見通しとして、阿南氏は、「イーライセンスとJRCが管理する楽曲は音楽著作権市場の2%程度だが、それは2002年以降に登録された生きた楽曲。そこに加えて、AMPが保有する約10万曲のカタログ音源、エイベックス・グループが発売する年間3,000〜5,000の新譜の委託、さらに大手レーベルの楽曲の半分でも預けていただけたら、10%のシェアまでは早期に見込める」と想定している。

また荒川氏は、「JASRACとは著作権管理事業マーケットのパイを奪い合うのではなく、お互いを尊重し、切磋琢磨することによって、結果、音楽著作権の利用がより促進され、権利者に多くの果実を還元することができ、マーケットが広がるよう公平なルールのもと競い合っていきたい」と展望を語った。

著作権法改正の大きなきっかけを作った坂本龍一氏からのメッセージも公開された。

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