音楽生成AI「Suno」、ユニバーサル・ソニーとの和解交渉行き詰まりか
音楽生成AI「Suno」は、ユニバーサル ミュージック グループ(UMG)とソニー・ミュージックグループ(SMG)との和解交渉が難航しているようだ。最大の争点は、同サービス外での生成トラックの共有・配信に関することだとされる。関係者の話を元に、フィナンシャル・タイムズ(FT)が伝えた。
交渉に関与する関係者は「協議は継続しているが、現行の提案では合意に至る道筋は立っていない」とコメント。主要な意見の相違の一つは、楽曲生成後の扱いを巡るもので、UMGはAIが生成した楽曲がアプリ内にとどまり、インターネット上で自由に拡散されないことを望む一方、Sunoはユーザーがそれら楽曲をより広く共有・配信できるようにしたいと考えているという。
音楽生成AI「Udio」はUMGとの和解の一環でダウンロード機能を即時停止したことで、大きな打撃を受けたとされている。特にライセンスを取得した生成AI音楽サービスが増えている(イレブンラボの「Eleven Music」など)現状を踏まえると、Sunoは長期の法廷闘争に直面する可能性がある。
(文:坂本 泉)
榎本編集長
UMGが求める「AI生成楽曲のアプリ内封じ込め」とSunoが望む「自由な共有・配信」——この対立は、音楽プラットフォームの本質的な問いを突いている。TikTokが楽曲の「拡散」で文化を作り、SpotifyがSongDNAで音楽の「文脈」を可視化するように、音楽の価値は「広まること」で生まれる側面がある。しかしUMGとソニーにとって、ライセンス管理できない形でAI生成楽曲が拡散することは著作権保護の根幹を揺るがすリスクだ。実際にAI生成楽曲は詐欺集団に悪用され、ストリーミングの全再生数の1割以上を不正に奪っているとされる——レーベルが「アプリ外への拡散」に神経をとがらせる理由がここにある。WMGとの和解で協調姿勢を示したSunoが、残る二大メジャーとどう折り合うか——Udioの前例が示すように、妥協点はビジネスモデルの根幹を変えかねない。ライセンス取得路線の競合が増える包囲網の中で、ARPAの実績を持つSunoが業界との共存路線をどこまで追求できるか。その答えが、AI音楽の次の章を左右する。ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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