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有料ストリーミング市場、日本が成長の原動力に ルミネイト分析

ビジネス 海外

米国のエンターテインメント業界向けデータ会社Luminate(ルミネイト)によると、2025年上半期(1〜6月)のアジア太平洋地域(APAC)における有料音楽ストリーミング数の約3分の1(32.3%)を日本が占めた。同社は有料ストリーミングで後れを取るAPACの変化を「日本がけん引している」と指摘している。

日本のZ世代における有料音楽ストリーミング利用者の割合は、2023年の36%から42%に上昇。同時に無料ストリーミング利用者がわずかに減少していることから、有料サービスへの転換が成功しているとの見方を示した。

APACおよびオーストラリア/ニュージランド地域では、有料音楽ストリーミング数(オーディオ・ビデオ)のトップが日本で、前年同期比11.4%増の700億回を突破。2位のオーストラリアは7.4%増の約500億回、インドは43.9%増の約400億回だった。

総ストリーミング数(広告付きを含む、APAC)は、インドが首位を維持し、日本は2位、インドネシアは3位となっている。有料ストリーミング比率は韓国、シンガポール、日本、香港が75%を超える一方、インドとインドネシアは20%未満で、APAC全体では62%にとどまる(世界平均は82%)。

(文:坂本 泉)

榎本編集長

「日本は今でも世界第二位の音楽ソフト売上を持っているが、有料ストリーミングの再生数でもアジア太平洋地域の32.3%を占めており、伸び率も前年同期比11.4%増と首位を走っていることが音楽データ会社Luminateの調べで分かった。朗報なのはZ世代が世界で音楽サブスクよりYouTubeやTikTokでの音楽聴取を好む傾向がある中、日本のZ世代は42%が有料ユーザーで無料ユーザーが減少していることだ。SpotifyはZ世代のサブスク離れに対策するため最近、スマホの無料ユーザーでもシャッフルではなくオンデマンドで再生できるようにしたり、Music Proで予定されていた高音質再生を通常の有料プランで解放している。私の分析では日本の生産労働人口の約3分の2が音楽サブスクを有料で使っている。他の先進国は音楽サブスクの普及が終わり低成長に入っているが、欧州に5年遅れ、アメリカに3年遅れた日本はここから3年ほどが音楽サブスクの勢いを最も感じる時期に入ったのかもしれない。無料を含めた総ストリーミング数はYouTube大国であり14億5000万人を擁するインドがやはり1位。同国は次の音楽の成長領域グローバルサウスの牽引国と目されているが、貧富の格差から有料へのコンバージョンに苦戦している」

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。