EUの録音原盤市場、2024年は9%増の1兆円弱 サブスク普及率は米英に後れを取る

国際レコード産業連盟(IFPI)は9月23日、欧州連合(EU)の録音原盤の売上高が2024年に前年比4億7,000万ユーロ(約810億円)増加し、地域別で最も伸びたと発表した。総売上高は57億ユーロ(約9,825億円)と、1年前から9.1%拡大している。
「ストリーミングプラットフォームにおける加入者数の大幅な増加と価格引き上げ」が増加要因となった。EUに次ぐ伸び(金額ベース)を示したのは米国で2億2,000万ユーロ。これに中国(1億3,200万ユーロ)、ブラジル(1億600万ユーロ)、英国(8,600万ユーロ)、中東・北アフリカ(MENA、2,500万ユーロ)、サハラ以南アフリカ(1,900万ユーロ)と続く。日本は500万ユーロのマイナスだった。
EUにおける音楽ソフト売上高の77.4%をストリーミングが占める一方、総人口に対するストリーミング契約者数の割合は25%と、英国(46%)や米国(52%)を大きく下回る。
報告書には世界的なデータも含まれており、3大メジャーレーベルの使用料(デジタル・フィジカル・シンクロ)収益のうち、アーティストの取り分は35.5%と、2016年の31%から着実に拡大している。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「EUの音楽ソフト売上が発表。前年比9%増の好調で57億ユーロ(約9,825億円)と日本の約三倍に。かつて日本は一国で欧州に匹敵する音楽大国だったが経済的衰退で差が開いてきた。内訳を見ると音楽サブスクの伸び率がよい。先進国での音楽サブスクの進捗率が落ちてきていると私が書いてきたことと矛盾するようだが、内訳を見るとEU全体での音楽サブスク普及率は26%だが西欧は4〜5割、北欧は4〜6割。経済発展の遅れる南欧・中欧・東欧でまだ成長の余地があることがわかる。西欧の人口割合はEUの約4割。なおイギリス、アメリカの普及率は5割弱。IFPIの母数は全人口ではなく主にネットに接続可能な生産年齢人口(15〜64歳)などをベースに各国で試算されているようだ。生産年齢人口を基に、私の得ている情報で割り出すと日本の音楽サブスク普及率は3割前後だ」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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