Suno製AIアーティストのザニア・モネ、ビルボードのラジオチャートに初登場
AIアーティスト「ザニア・モネ」の楽曲「How Was I Supposed to Know?」が、米ビルボードのジャンル別のエアプレイ・チャート「アダルトR&Bエアプレイ」(11月1日付)で30位につけた。AIアーティストがビルボードのラジオチャートにランクインしたのは初めて。
ザニア・モネは、詩人タリシャ・ジョーンズにより音楽生成AI「Suno」を活用して生み出された。「アダルトR&Bエアプレイ」は、米国の大人向けR&Bラジオ局における放送回数に基づいたランキング。米国のエンターテインメント業界向けデータ会社Luminate(ルミネイト)によると、10月17日~23日における放送回数は前週比28%増加。米国のラジオ放送回数分析チャート「メディアベース(Mediabase)」によれば、チャート集計対象の大人向けR&Bラジオ局57局のうち15局が期間中に同楽曲を放送した。
この楽曲は、TikTokなどのソーシャルメディアプラットフォームでバイラルヒットして注目を集め、9月20日付のビルボードチャート「R&Bデジタルソングセールス」で初登場1位、翌週の「ホットR&Bソングス」で初登場20位を記録。モネは数百万ドル規模のレコード契約も結んでいる。楽曲とクリエイターに対しては賛否両論があり、SZAやKehlaniらが反対を表明している。
(文:坂本 泉)
榎本編集長
「Sunoで曲を生成、Canvaで姿を生成したAIアーティスト、ザニア・モネが米ビルボードのR&Bエア・プレイチャートで30位に入った。「中の人」は推定32歳女性のテリシャ・ジョーンズで、彼女の本によると楽器もIT関係も素人。近所の教会のゴスペル歌唱団に属していて、歌手になる夢をもっていたがシングルマザーとなりアルバイト生活で挫折。そしてSunoに出会い、TikTokやInstagramに投稿したところ、彼女を応援するコメントとシェアがあふれ、100万再生、1000万再生を連発。このストーリー性に目を着けたのがワーナー、ユニバーサルミュージック、ヴァージン(UMGとは別途オファー)、ハリウッド・レコードで、契約額250万ドル(約3億8500万円)のハリウッドを彼女は選んだ。ザニア・モネはSpotifyで最も再生されたのは現在665万曲で、数字自体はそこまでではないが伸びている。夏に話題となったThe Velved Sundownは「実はAIでした騙されたおまえら馬鹿」という態度が嫌気され月間200万人を超えていたSpotifyのリスナー数は20万人台に激減。別記事で書いた(1)背後のAIプロンプターの人間性が伝わっていて、(2)AI生成曲がその人間性と強く結びついていることが「AIに騙されたくない、共感したくない」音楽ファンへの突破口となるが、ザニア・モネはこの条件をクリアしているからこそ争奪戦が起きた」ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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