発信者情報開示請求訴訟において違法アップローダーの氏名等の開示を命じる判決下る

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日本レコード協会

10月10日、金沢地方裁判所はインターネットサービスプロバイダ「株式会社ネスク」に対し、ファイル共有ソフト「Share」を利用してインターネット上に大量の音楽ファイル(以下 音源)を継続して違法にアップロードしている1IPアドレス利用者の氏名、住所等(以下 発信者情報)を音源の権利を有する日本レコード協会 会員レコード会社に開示するように命じる判決を下した(10月25日判決確定)。

本件は、日本レコード協会 会員レコード会社がインターネットサービスプロバイダ14社を対象に、自らが権利を有する音源をファイル共有ソフト「Share」および「BitTorrent」を利用して許諾なくアップロード(公開)している者に対し、著作隣接権(送信可能化権)侵害に係る損害賠償請求等を行うため、「プロバイダ責任制限法」第4条1項に基づき26のIPアドレスを利用してインターネットに接続していた者の氏名、住所および電子メールアドレスの開示を昨年7月より求めていたもの。

そのうち、ネスクが同社のサービスを利用する1つのIPアドレスについて発信者情報の開示に応じなかったため、本年4月、日本レコード協会 会員レコード会社が金沢地方裁判所に発信者情報開示請求訴訟を提起し、開示するに至った。この判決により昨年度に発信者情報開示請求を行った26のIPアドレス全てについて発信者情報が開示されることとなった。

日本レコード協会 会員レコード会社は2013年から2018年までの6年間に、ファイル共有ソフトを利用して音源を違法にアップロードしていた156名について、インターネットサービスプロバイダに対して発信者情報開示請求を行い、116名は訴訟によらず発信者情報が開示され、任意に開示されない場合には発信者情報の開示を命ずる判決を得て、最終的に全件発信者情報が開示されている。

なお、日本レコード協会 会員レコード会社は開示された発信者情報に基づき、代理人弁護士を通じて違法アップローダーとの間で「今後著作権侵害をしない旨の誓約」および「損害賠償金の支払い」に関する協議を随時進めている。昨年度の発信者情報開示請求によって開示された違法アップローダー25名のうち16名については損害賠償支払いによる和解が成立しており、賠償額は平均42万円となっている。

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