【15th TIMM】ビジネスセミナーに朝妻一郎氏と大里洋吉氏が登壇、海外ビジネスの経験と未来を語る

インタビュー スペシャルインタビュー

第15回東京国際ミュージック・マーケット(15th TIMM)の初日(10月22日)にビジネスセミナー「海外ビジネスへの終わりなき情熱 朝妻一郎・大里洋吉」が開催され、多くの観衆を集めた。

音楽出版社として海外ビジネスに早くから着目し、様々な楽曲をヒットに導いたフジパシフィックミュージック代表取締役会長 朝妻一郎氏と、多くの日本人アーティストの海外進出をマネジメントとして成功させたアミューズ代表取締役会長 大里洋吉氏が、10月22日に行われた第15回東京国際ミュージック・マーケット(15th TIMM)のキーノートスピーチに登壇。具体的なエピソードや質疑応答なども含めて海外ビジネスの秘訣を語った。

朝妻氏はパシフィック音楽出版の社員として1971年から参加しているフランスのカンヌで開催の国際音楽見本市「MIDEM」の話に始まり、1988年に設立し、全米のインディー系音楽出版社のトップに立った「ウインドスェプト・パシフィック」の事例や、ケイティ・ペリーのヒット曲を始め、多くのヒット曲をコンスタントに出していたロサンゼルスの音楽出版社・パルス・ミュージックの買収まで、その輝かしいエピソードを紹介した。
 

朝妻一郎さん

続いて大里氏はサザンオールスターズから始まるアミューズの歴史を紐とく。ヘビメタバンド E・Z・Oや喜多郎で取り組んだアメリカでの活動や海外ツアーを振り返りつつ、現在海外でも活発な活動を展開するPerfume、BABYMETAL、ONE OK ROCK、SEKAI NO OWARIなどの事例を紹介。また、積極的に取り組んでいるライブ・ビューイングの可能性まで語った。

朝妻氏は日本語が昔ほど奇に感じられなくはなっているが、坂本九『上を向いて歩こう』を『SUKIYAKI』というタイトルにして全米ヒットした事例や防弾少年団(BTS)の名前を挙げ、欧米でのヒットには歌詞も含めて対応が必要だと語る。対して大里氏は「アーティストに自由にやらせる強い心が大切」と力説。「これからは欲望がある人と体力がある人しか勝てない」と語った。また、両氏ともに、日本人の作曲能力や演奏技術の高さに対して、ボーカリストのクオリティアップ実現が課題との見解を示した。
 

大里洋吉さん

質疑応答で「日本のアーティストでビルボード1位を獲りたい気持ちはあるか」問われた両氏。朝妻氏は「所有している著作権の作品でビルボード1位を獲る経験は何度か経験したが、何とか日本のアーティストと日本の作家によるもので1位を獲りたい」と意気込みをみせたが、大里氏は「私はチャート1位を獲ることよりも、ライブを含めて感動を与えるようなアーティストを送りだす方が面白い」と語る。

最後に朝妻氏はSNSが発達した現代だからこそ、様々な国の人たちと直接会うことが重要とし、「MIDEMやSXSW、TIMMといった海外の人が集まるところに積極的に出かけていってほしい」とメッセージを送った。また、大里氏は「海外に行くとしたら、そこでアーティストやスタッフが信頼できる人を見つけることが一番大事」と語り、勝率を上げるには相性の合う人と仕事をすべきであり「これからは“会社”ではなく、あくまでも“人”と仕事をする時代になるのでは?」と予測し、セミナーは終了した。

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