レコチョクがAndroid向けアプリ「レコチョクアプリ」をリリース〜スマートフォン市場参入の狙いとは?

インタビュー スペシャルインタビュー

配信事業部 次世代配信グループ 鬼頭武也氏
配信事業部 次世代配信グループ 鬼頭武也氏

株式会社レコチョクがAndroid OSを搭載した新スマートフォン「Xperia」向けに4月1日より「レコチョクアプリ」による音楽配信サービスの提供を開始した。スマートフォン市場への参入の狙いや今後の展望について同社の配信事業部 次世代配信グループ 鬼頭武也氏に話を伺った。

——スマートフォン市場参入の目的は?

鬼頭:今後お客様が、従来の携帯電話からスマートフォンへの「乗り換え」や「二台持ち」をされることが予想される中、そのようなお客様にも、引き続きレコチョクのサービスをご利用いただき、快適かつ合法的に音楽をお楽しみいただきたいと考え、参入致しました。

——昨年7月にはすでにドコモよりスマートフォンは発売されていましたがその時点での参入は検討していなかったのですか?

鬼頭:検討はしておりましたが、端末のスペック等の問題からセキュリティや快適さの観点で十分なスペックでのサービスのご提供が困難であったことから、(昨年7月での参入は)見送りました。

鬼頭武也1

——「レコチョクアプリ」についてお伺いしたいのですが、これはどういったアプリケーションなのでしょうか?

鬼頭:音楽のダウンロード購入機能と、プレイヤー機能をあわせもった「統合音楽アプリケーション」となります。ダウンロード購入機能を利用して、お客様は1曲から楽曲をご購入することが可能で、またご購入いただいた楽曲は、別のアプリケーションを立ち上げなおすことなく、レコチョクアプリ内のプレイヤー機能を利用してシームレスにお楽しみいただくことが可能です。

また、プレイヤー機能では、ご購入いただいた楽曲のみでなく、PC等から取り込んだ楽曲も再生することができ、汎用的な音楽プレイヤーとしてもご利用いただくことが可能です。

——特徴的な機能はありますか?

鬼頭:やはり最大の特徴はダウンロード購入とプレイヤーの機能が一つのアプリケーションに統合されており、お客様が音楽を「探す/出会う」「購入する」「聴く/楽しむ」という一連の体験を、ストレスなく実現できている部分が特徴であると考えています。

例えば、レコチョクアプリを音楽プレイヤーとして、お客様が既にお持ちの楽曲をお楽しみいただく、その中で、そのアーティストの他の楽曲も聴いてみたい・欲しいと思われたら、ワンタップでダウンロードサイトにアクセスすることができ、そこで試聴をしながら楽曲を探し、気に入った曲があればすぐに購入、ダウンロードすることができる、ダウンロードが完了したらスムーズにその曲を再生し楽しむ、という体験をご提供することが可能となっています。 もちろんプレイヤー機能と統合しているため、ダウンロード中の待ち時間も、それまで聴いていた楽曲を聴きながら退屈せずに過ごすことができます。

鬼頭武也2

——「レコチョクアプリ」はiPhoneでiTunesとiPodを利用する場合と類似点が多いように思いますが、異なる点はどこでしょうか?

鬼頭:iPhoneと比較した場合、Androidはプラットフォームとして柔軟なマルチタスク機能であったり、アプリケーション間の連携をスムーズに行う機構を持っていることが、レコチョクアプリにとっても今後iPhoneにはないユーザー体験やメリットをご提供できる、重要な要素となっているものと認識しています。 現時点では上記の通り、お客様がダウンロード購入頂いた曲を、アプリケーションを立ち上げなおすことなく直ぐにお楽しみいただけるという点等が具体的なメリットとしてあげられますが、もちろん今後もっと積極的に新しい楽しみ方をご提案できるような仕掛けを盛り込んでいきたいと考えています。是非期待していてください。

——オープンプラットフォームを使用しているので、これまでよりもセキュリティ面が重視されると思いますがどのような対策をされているのでしょうか?

鬼頭:セキュリティ対策は多岐にわたりますので一概に申し上げられませんが、例えば一例としてアプリケーション(レコチョクアプリ)内にもセキュリティの機構を備えており、例えばセキュリティホールが見つかった場合にはレコチョクアプリをバージョンアップするとともに、一定のバージョン以上のレコチョクアプリでないとダウンロードサイトにアクセスできないようにする、といったような機構等を用意しています。

——すでに他社からもスマートフォンは販売されていますが、他社や各端末へのアプリ提供の予定はありますか?

鬼頭:積極的に検討を実施しております。

——音楽配信以外のレコチョクコンテンツのスマートフォンへの対応は検討されていますか?

鬼頭:こちらももちろん積極的に検討していきたいと考えております。従前の携帯電話向けに提供させていただいているコンテンツはもちろんですが、むしろ特に、スマートフォンならではの大画面を活かし、例えばもっと楽曲やアーティスト様のイメージを前面に打ち出すことのできるような魅力的な新商品も開発し、提供していきたいと考えています。

——iPadの参入で音楽配信市場はどのような影響を受けると思われますか?

鬼頭:iPadに限らず、「お客様が音楽を楽しむことのできるデバイス」が普及することは、大変喜ばしいことだと考えております。「影響を受ける」というより、むしろ「影響を与えていきたい」という方向性でしょうか。弊社といたしましても、そのようなデバイス群に対して積極的にサービスを展開し、お客様と音楽との接点を増やし、音楽文化を盛り上げていきたいと考えています。

——これまでは、着うた、着うたフルはレコチョク、PC音楽配信はiTunesという印象でしたが、スマートフォンが発売されモバイルとPCの垣根がなくなってきました。今後はどのようにして差別化を図っていくのでしょうか?

鬼頭:どのように差別化を図るか、というご質問からに対する直接のご回答とはならないかもしれないのですが、「モバイルとPCの垣根がなくなっていく」等といった市場環境、強いてはユーザー様のライフスタイルが変化していく中で、それにあわせた快適かつ便利、魅力的なサービスを提供し、またその中で本当に多くのお客様が現在弊社の「着うた」、「着うたフル」サービスをご利用いただいているという強みと、レコード会社様により近い立場にあるという強みを活かしていきたいと考えています。

——スマートフォン市場への可能性についてはどのように意識していますか?

鬼頭:先ほどの回答の繰り返しとなる部分もありますが、「二台持ち」需要等も考えると、我々が音楽をお届けできる接点が増えるという点は非常に喜ばしく思っておりますし、また技術的に可能なこと・表現力が非常に高い端末市場ですので、新たな音楽商品を生み出すことのできる貴重な機会として、積極的に取り組んでいきたいと考えています。

-2010.4.21 掲載

関連タグ

オススメ