Spotify、アーティストの新たな収益源としてAI「派生作品」に注目
Spotifyは、2月10に開かれた決算説明会の中で、リスナーがAIを通じてお気に入りのアーティストの音楽と交流できるようにしたいと表明。そのための技術は既に構築済みだが、ライセンスが障壁になっているという。グスタフ・セーデルストレム共同CEOの話を元に、Music Business Worldwide(MBW)などが伝えた。
セーデルストレム氏は、AI音楽を「新曲制作」と、AI生成によるカバーやリミックスといった既存音楽の「派生作品」の2種類に分類し、自社は後者を中心とした機能展開を目指していると示唆。映画やテレビでは既存の知的財産(IP)が「非常に価値が高い」一方で、音楽業界ではこれまでAIを通じてアーティストが同様の方法でカタログを収益化できる権利の枠組みが欠けていたと指摘した。
同氏は「あらゆるデータが示すのは、リスナーが愛する音楽と交流したいと望み、多くのアーティストもそれを可能にすることで既存カタログから新たな収益を生み出したいと考えていることだ」と説明。「弊社にはIP保有者とSpotifyの双方にとって付加価値となる形で、この可能性を解き放つ技術と能力が整っている」と自信を示した。この実現に向けて既にアーティストや業界パートナーと協業中で、これらの機能を「アーティストを囲い込むのではなく、アーティストの支援を得て構築する」と強調した。
(文:坂本 泉)
榎本編集長
「Spotify決算の話題が続くが、これは重要な発言だ。同社は昨年10月に3大メジャー+Merlin+Believeと『アーティストファーストAI製品』開発で提携済み。今回の発言はその具体像を示したものと言える。セーデルストレム氏が注力するのはAIカバーやリミックスなどの『派生作品』。映画・TVでは既存IPが巨額を生むのに、音楽ではその仕組みがなかったという指摘は鋭い。WMGのKyncl CEOも『将来のスーパーファン・ティアにはAI創作機能が含まれる』と発言しており、高価格帯プランの目玉になる可能性がある。一方でUMGのMichael Nashは『派生作品が他プラットフォームでアーティストと競合するリスク』を警告。Udioとの契約では外部配布を禁じる『Walled Garden』方式を採用した。Deezerには毎日6万曲超のAI楽曲がアップロードされ全体の39%を占める現状。この潮流をいかに収益化するかが次の競争軸となる」ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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